第50話

「そんな訳で、戻るのが少し遅くなります」

「分かった。一ノ瀬には戻る前に、自分に連絡するよう伝えてくれ!」

「わかりました。では、失礼します」

 Black Bird 社長室。

 一夜零の迎えを頼んだ一之瀬遼の相棒、月見坂伊吹から戻るのが遅くなると連絡がきた。

 理由は、本人に逃げられたから。

「社長。頼まれた資料、ここに置いてもいいですか?」

 伊吹との電話を終えた黒鳥の元に、一人の男性が近づいてきた。

右手には、黒いファイルが握られている。

「……野口、早かったな」

「俺にかかればこんなの朝飯前です」

「そうだったな。お前、今日もあっちか」

「便利屋野口一として、予約が1件入ってます」

「野口。表の仕事をするのもかまわんが、本業をおろそかにだけはするなよ」

「分かってます。あくまであっちは、情報収集の為ですから。では、予約の時間が迫ってるので、失礼します」

「あぁ」

 お辞儀をして部屋から出て行く野口。

 野口一、二十五歳。捜し物専門事務所「Black Bird」所属、捜し物専門探偵。

 但し、情報を集める為に正体を隠し、二隻駅構内で便利屋「ハチミツ」を営業している。(一人でひっそり営業しているが、中々の人気で商売としてもいいお金稼ぎになっている)

 でも、野口の本業は、探偵。彼の得意分野は、依頼人、ターゲットの名前だけでその人物についてのあらゆる情報を捜し出す。彼の手にかかれば、本人が隠している秘密でさえ、表舞台に顔を出す。

 だから、Black Bird 仲間は、彼の事を情報を狩る hunter(ハンター)と呼んでいる。

 そんな彼の相棒は、彼と同じ二十五歳の村瀬斗真。

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