第11話
鈴蘭水族館 駐車場。10時30分
「なんでお前と水族館にこないといけないだよ。それも、女装までしておかしいだろ!」
暗号を解読し、鈴蘭市に市街地にある鈴蘭水族館にきた零と朧。
二人は、周りに溶け込むため、ダークブラックのスーツから私服に着替える事にした。そこまでは、零も理解できた。
でも、朧は、ジーパンにパーカーに着替えたのに、どうして自分だけポニーテールのウィッグを被り、ピンクのワンピースを着替えないといけないのだろうか。
女装姿の零は、誰が見ても男性には見えない。
零の身長は155cm、そして全体的に細身の体で、顔も女性みたいな可愛い顔をしている。
なので、社長命令で仕事の度に女装をさせられることが多い。いやぁ? 命令と言うよりかほぼ社長の一方的な趣味じゃあないかと社内でもでも噂になるぐらい、社長は零に女装をさせたがる。
でも、零には悪いが、俺は、正直、そこら辺に自分が出会ってきた(勿論瑞穂以外)女性より女性らしいと思う。まぁ? 本人には口が裂けても絶対言わないけど。
「しょうがないだろう! 社長の命令なんだから。それに、俺が女装したらおかしいだろう! 見た目てきにも、バランス的にも」
朧の身長は170センチで全体的にガッチリしたいい体つきをしている為、そもそも女装が似合わない。
「おかしく…ふふふふ」
「痛い! って何するんだよ!」
「お前が変なこと言うからだろ!」
「だからって、おなか蹴ることないだろう! いったたた!」
零からのおなかへの強烈な一撃でその場にしゃがみ込む。
しかしすぐさま立ち上がり…零に左手を差し出す。
「なに?」
いきなり差し出された左手に零は首をかしげる。
「…だから、俺と手をつなげ!」
「はぁ? なんでお前と手を繋がねぇといけないだよ!」
「俺だって男と手なんかつなぎたくない。けどこれは社長命令だ!」
確かに、ここはデートスポットして有名な場所だ。
そして、いまも自分たちの横をを複数のカップルが通り過ぎていった。
勿論、インカムをしているのでその人らに会話自体は周りには聞こえる心配はない。
なので、今の零たちは周りの人から見るとイチャついてるカップルにしか見える。
「…金はお前が払えよ」
零は、嫌味たっぷりに朧の左手を掴む。
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