第3話 後悔と前進

自分らしく

拝啓 清水恭弥様

 恭弥。

 俺、もう、お前や智樹の元に生きて戻ってこらないと思うから。

 だから、最初に謝っておくゴメン。

 恭弥。

 お前には、なんやかんやで、いつも助けて貰ってばかりで、お返しもできないまま、あの世に行く俺をどうか許して欲しい。

 これまでのお返しは……来世? いやぁ? あの世でするよ?

 まぁ? それも、俺が天国に行けたらの話しだけど。

 まぁ? きっと、俺は100%、天国じゃなくて、地獄に行く事になると思うからあの世でのお返しは……無理かな? 

 それどころか、来世どころか、転生できるどうか解らないから、一生お返しは無理かもなぁ?

 恭弥。お前ぐらいは泣いてくれよ?

 お前……俺にとって唯一の家族なんだから。

 それに……俺の死、いやぁ? これから起きる事件は、きっと表沙汰にならないと思うから。

 だからこそ、最後ぐらいは、恭弥? お前の手であの世に葬って欲しい。

 そして、骨は一つ残さず、全て海に散骨して欲しい。

 俺の遺産は、全て恭弥? お前が受け取って欲しい。

 お前は、俺の唯一の家族だから。

 まぁ? 血縁上の親族は……だけど、俺にとっての家族は、恭弥、お前だけから。

 だから……恭弥。

 そして、お前には、お前の人生があるし、なんなら……お前には、あっちの世界に、もう関わって欲しくない。

 けど……

 9年前、どん底だった自分を救ってくれたのは……間違えなくあっちの世界だから。

 今まで、本当にありがとう。

 そして、ごめん。


_追伸_

 恭弥。お前が、もし、俺の死を受け入れて、再び前に進み始めたら、俺の代わりに、謝って欲しい人がいるんだ。

 勿論、無理にとは言わない。

 そして、その時に、そいつ宛に書いた手紙も一緒に渡して貰えないか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る