韋駄天の蒼穹
白雪れもん
第1話 友達
「おはよう。」
僕は何もない日常に嫌気がさしながらも目を覚まして布団から重い体を起き上がらせた。
「あら、早いのね」「毎回こんな時間じゃん」
今の時間は朝の五時半。いつも最近は早めに朝起きるのが日課。
「いつものとこ行ってくるね。」「行ってらっしゃい」
何故かは知らないけどいつも早く起きる母親に「いつもの」所に行くと話して家を出た。
いつものとはただのコンビニである。現在高校二年生の俺は中学一年の二学期の初めからいじめによる不登校で朝早く起きコンビニに行き家で勉強をして高校に通うことを狙うようにした。
日々の努力が実を紡いだのか、高校は偏差値60くらいの中の上らへんのいい感じの立ち位置の高校に入学することができた。
未だにいじめはある。学校にトラウマを抱いている俺は単位を落とさない程度に月一程度で午前中だけ学校に行き早退して家で勉強して目標である「気象予報士」についての勉強をしている。
「これ、お願いします」
いつも買う値段に見合わない大きめのココアにチョココロネを買いコンビニを出た。
好きなものや趣味がない俺は金は朝以外使わずに有り余っているほどだ。そろそろ趣味位見つけようか。
「暇だな、まぁ、こんな生活も悪くないか」
「ねぇ、キミ、自分の人生に退屈してる?」
電柱の上に足を組んで頭の半分だけが深緑色の謎の男に話しかけられた。
彼はひびが入った三角形の眼鏡をしており、こちらをにやにやと見つめている。
「誰ですか?あなたは。まぁ、退屈してますけど。」
「そうか、じゃあ見方だね。」「え?」
「よっと」
高い十メートルはある電柱の上から軽々と降りてきた男はスタッっという効果音がなったかのように音を立てた。
「今から俺と君は、友達。よろしくね☆」
よくテンションが分からない何考えてるかわからないわからないだらけの男だ。
「てか、時間やばいからそろそろ家戻りたいんだけど。」
「戻ればいいじゃん!あ、俺は「行之内日影」!君は?」
「よくわかんないけど俺は「朱雀裳南下」。」
「てか、帰らずに学校行こうよ!」
ニコニコして手を差し伸べてくる日影を俺は申しわけなく断った。
「すまん、俺は学校でいじめられててトラウマがあるんだ。だから学校には行ってない。」
「あーなるほどそういう感じね?」
察したように顔を下に向けると何か考え付いたかのように笑ってこっちを向いた。
「いいこと考えた!とりあえず来て!」
手を無理やり握られて連れて行かれていかれた場所は「都立国島高校」。俺の言っている学校だ。
「ちょっと!?どういうつもり!?」
「お前のことをいじめてるやつをボコボコにしてやるんだよ!!」
何言ってんだこいつ!?ヤバいやつと知り合いになっちまったかもしれない。
「こんにちわー!!朱雀君の事いじめてるやつ出てこいやコラー!」
ガラガラと音を立ててわざと視線が集まるように大きな音を立てる
こいつガチで頭おかしいやろ!あいつがどれだけヤバいのか知らな・・・
「朱雀の友達かなんかか?残念ながらこいつは俺のおもちゃだ。お前に手は出させねぇよ?」
出てきた大柄な男の名は「弥峰浩二」簡単に言うといじめっ子。
「あ、きみ?」
そう言うと日影は足を上げて浩二の頭を蹴り飛ばした。
「よし!行こうか!」
「え!!!???」
驚きで足が動かなかった俺は引きずられる形で学校を後にした。
「ねぇねぇ!!俺と一緒に暮らそうよ!朱雀の家でさ!」
「え?俺はいいけど親がどういうか・・・」
そして場面は切り替わる。
「え?別にいいわよ?お金は有り余るほどあるんだし、お金を使う理由としてもいい機会じゃない。朝ごはんだって死んだお父さんの分と思えばいいわよ!」
冗談としてはちょっと重すぎるたとえ話な気がするが、まぁいいだろう。
「え、じゃあ俺の部屋でいい?」
「OK!!」
軽すぎやしないかい?てかお前の親は?色々聞きたいことがあるんだよ。
「聞きたいことが山ほどある。まず親は?」
「殺した。」「え?」
「友達も、先生も、みんな殺した。」
訳アリなんだろう。それは俺にもわかる。
これは、俺と日影が、新しい感情を取り戻す物語。
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