火『煉瓦的微小立方体』
——八〇億人の
ある日、雲一つない空から、豆粒ほどに小さな謎の立方体が、たいそうゆっくりと、降り注いだ。
模様一つない、乳白色の、
人々は、それを手にした途端、なぜか無意識のうちに、頭の中に、己が欲するものを思い描いた。手のひらの上の直方体が、白き閃光を放ち始める。人々は期待に胸膨らませる。立方体はばらばらと崩れる。粉々になってしまう。手からこぼれ落ちる粉。地が白く染まる。
人々は落胆しかけたが……
元は立方体だった粉の広がり。そこから、ボコボコ、と音が鳴り始める。そして、急激に巨大化する。それは、ただ巨大化するのではない。目を凝らして見てみると、粉の一つ一つが分裂し、さらに成長しているのだとわかる。水平方向には、水面に浮かぶ微細な
ある者が手にした立方体は、車へと姿を変えた。また別の者の立方体は家に。ブランド物のバッグ、水、パン、銃、薬物、
しかし、問題があった。車のエンジンはかからず、バッグのジッパーも開かず、パンは硬すぎて噛みきれないし、銃も撃てなかった。
やはり人々は落胆した。
立方体が
人々は、空から降ってきた立方体を『
〈水『君だけの星』に続く〉
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