第5話

勝手知ったる航平の部屋。


紙袋をクローゼットから取りだし、服やCD、本などの私物をポイポイ入れていく。


「何してるの?」


最後にキッチンに行き、厚みのあるビニール袋に、私がこの部屋で使ってた食器なんかを入れ、袋を縛り、床に叩きつける。


「業者さんが怪我しないように処理してから捨ててね。」


「愛美?」


「スマホ!」


「えっ?」


「スマホ。私、彼氏のスマホをチェックするような女じゃないよ?私の番号とかを消すだけ。

ほら、早く!」


航平はおとなしくスマホを預けてきた。


「愛美、まさかこんなことで別れるつもり?」


「こんなこと?」


「…」


「私は浮気しちゃダメなんだよね?航平はこれからもするのに。」


「もう絶対しない!淋しくても電話で我慢する!」


「今まで我慢できなかったのに?」


「これからは絶対浮気しない。好きなのは愛美だけだから。」


「これからは、ないよ。もう、終わりだから。」


航平にスマホを返し、自分のスマホからも、航平のデータを消す。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る