第72話

あたしの携帯が鳴る。


手に取り、相手を確認すれば


「隆太先輩。」




「もしもし?」


「陽緋ちゃん?

突然だけど、今日の夜って空いてる?」


「夜、ですか?」


手から携帯が消えて…


消えた携帯は廣田くんの手の中。


「空いてないよ。


え?


だめーっ!


だって、陽緋は俺の彼女だもん。」


一体、二人はどんな話をしているんだろう。


と思いながら、なんとか半身を起こすと、


「もう起きて大丈夫?」


と訊かれて。


「え?


ご想像にお任せします。


じゃあね、りゅーちゃん。」


あたしは差し出された携帯を受けとる。


通話が切れた状態の。

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