第68話

「んんっ…」


身体が熱を帯びていく。


何も考えられなくなって、必死に廣田くんにしがみつく。


「陽緋…陽緋」


記憶に残るのは切なそうにあたしの名前を呼ぶ廣田くんの顔と声。


あたしは、頭の中が真っ白になって、意識を手放してしまった。




「あ、起きた。」


見慣れない天井の次に視界に映り込んだのは、廣田くんの顔。


少しイジワルな笑みを浮かべてる。


「あたし…」


「気を失ってたんだよ。」


「気を…?」


「ほんの数十秒だけど。

こんなの初めてで、びっくりしたよ。」

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