第46話

「上野さん?」


追いかけてきた廣田くんが、あたしの腕を掴む。


「廣田くん、亜美先輩が好きなんでしょ?

振り向かせたら?」


「俺だって、できるものなら、そうしたいよ!

でも亜美はっ!」


「ふふっ。」


「上野さん?」


急に笑い出したあたしを奇妙な目で見てる。


「隆太先輩は、亜美先輩と別れたんだし、チャンスじゃない。

頑張ってね。」


「上野さん?」


「あたし、もう、いいや。」


「何が?」


「廣田くんの彼女辞める。」


そう言うと廣田くんの手を振り払い、靴箱へと急いだ。

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