第32話
「陽緋ちゃん、この部屋来たことある?」
「一回だけ。」
「そう。あ、翼。」
廣田くんがお盆に麦茶の入ったグラスを乗せて部屋に入ってきた。
「麦茶どうぞ。」
「サンキュー。」
「いたたきます。」
グラスの麦茶を飲み干した隆太先輩は、
「で?話って?」
「りゅーちゃん、亜美と別れるって言ったの?」
「言ったよ。」
「なんで?」
廣田くんは、身を乗り出す勢い。
「亜美といるの、疲れたから。」
「俺がどんな想いでっ!」
床を握り拳で打ち付ける廣田くん。
「じゃ、お前が付き合ったら?
好きなんだろ、亜美のこと。」
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