好きになるきっかけの言葉

仮眠をとって、ブランチを食べて、メイクして、出勤する。

「おはようございます。」

お客様はまだこない時間帯。

木梨さんが

「片岡さんて、クロのこと、好きでしょ。」

突然そんな言葉をかけられた。

「え？」

そんなこと意識したこともなかったアタシは、

「別に、好きってわけじゃありませんよ。」

と答える。

それでも、

「自分で気づいてないだけで、好きですよ。」

と、しつこく言ってくるから、

「好きなように見えます？」

と訊いてみる。

「見えます。絶対好きだって。クロも、片岡さんのこと、好きだと思いますよ。」

アタシ、黒石さんのことを好きに思えるような態度取ったかな？

別に、好みのタイプでもないし。

話しやすいとは思うけど…。

でも、この、木梨さんのしつこい発言のせいで、アタシは、黒石さんのことを少しずつ意識するようになる。

木梨さんの思惑に乗せられたのか、木梨さんの言うように、自分で気づいてないだけで、黒石さんのことを好きになっていたのか、わからないけど。

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