第39話

彼、正和とはテニスサークルで知り合った。

ある日『付き合ってる人いないなら、おいと付き合って』と言われ、ちょうど彼氏ほしいと思っていたし、好きな人もいないし、悪い人じゃないので付き合うことにした。



アタシは身長155㎝で体重42キロと小柄なんだけど、

正和は身長167㎝で80キロ、顔は、不細工芸人に毎回選ばれる、あの人にソックリだ。



サークルには、正和と同じ2年生で親友の、イケメンで背の高い中山先輩がいて、アタシと正和と中山先輩と3人でいるところを知らぬ間に目撃されては『彼、かっこいいね。』と言われ、『?』と思ったものだ。



アタシが正和と二人でいるところを偶然見かけた友達なんか、『もっと、面食いかと思った』とか、

正和の友達に『おいの女の子』と紹介される度、『美女と野獣』『コイツでいいの?彼女サン』とよく言われていたから。




付き合い出して2年経った頃、ゼミに友達以上恋人未満の男友達ができた。

山崎くんは、アタシのことをよくわかってくれ、真剣に相談事に乗ってくれたりする。



大学を卒業したあと、『あの頃、美咲のこと、好きだったよ。彼氏から盗れるとも思った。でも、彼氏がイイ人だったから、盗らなかった。』と言われた。



アタシも、多分、山崎君が好きだった。

でも、友達以上恋人未満の関係が居心地がよくて、そのままの関係でいたかったのだ。



それに、正和とは付き合いが長い分だけ『情』がわいていた。


好きとは違ったかもしれない。キライなところの方がたくさんあった。


それでも別れなかったのは、別れる理由がないのと、『変化』を恐れたのと、『好きだよ。キレイだね。大事にするよ。』などと、アタシを花のように愛でてくれたからかもしれない。

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