第23話

創くんにスーパーまで送ってもらい、てくてくと寮まで歩く。


この時間、メイドさんは働いてる時間だ。

早苗は遅出だから、まだ寝てるかな?


階段を上がり始める。

もうすぐ3階って時に、ガチャっと、ドアの開く音が。


部屋から出てきた早苗が、ニヤニヤしながら

「おはよう。寝不足みたいだねぇ。」


「おはよ。昨日、あれからどうしたの?」


キョロキョロと、早苗が周りを見たかと思うと、アタシは手を引っ張られ、早苗の部屋に連れ込まれた。


「アタシ、そっちの趣味はないよ?」


「私だってないよ!

昨日、カラオケで飲んで酔っぱらった飯塚さんが、ホテル行こうってうるさくてさぁ。」


「うんうん」


「3人で行ったワケよ。」


「!?」


「飯塚さん、着くなり爆睡して、まだ眠くなかったから、私、田原さんと小一時間話しこんだよ。

でね?美咲っちも薄々気づいてるとは思うけど、田原さん、美咲っちを好きみたいよ?」


「アタシは創くんが好きなんだけど?」


「でも、彼女と別れてないんでしょう?」


「うん。多分。その話はアタシ、しないことにしてるから、聞いてないけど。」


「だからさ、暇潰しにつきあってもいんじゃない?」


「なに、不道徳なこと勧めてんの?

あっ、早苗、飯塚さんと、何かあったでしょ?

で、アタシを仲間にしようとしてる!」


「実はぁ。田原さん、話しこんだあと、眠りこけちゃって。私も眠くなったから、私が真ん中で、川の字に寝たの。ならね、夜中、飯塚さんが私を起こしてきて。」


「で?まさか!」


「『早苗ちゃん、好きだ。抱きたい』って、キスしてきて。」


「まさか、ヤっちゃった?」


「ヤっちゃった。で、聞いて!スゴい早いの。

でも、『もう一回』って言うからしちゃった!」


「えーっ!?妻子もちだよ?」


「わかってるよ。単なる暇潰しだよ。あっちもそうでしょ。それに私はトオルくんが一番だし。」

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