第172話

「葉子!?」


「はい、返す。」


右手でスマホを受けとると、手の中で、着信音が鳴るとともに、スマホが震えだした。


「もしもし。」


『奏?俺がそこに行かなかったら、別れられちゃうのかな?』


「…………」


別れるって言ったら、「わかった」って、義仁さんは言うのかな……。


『奏?』


「奏、一緒に風呂入ろう、昔みたいに。」


スマホの近くで篤史が叫ぶ。


『奏、今の……』


「元カレです。」


義仁さん、どう思った?なんて言う?

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