第163話

義仁さんからだ。


出るのを迷っていると、


「出ないの?」


篤史が言ったかと思うと、私の手からスマホを取り上げ、店の外に出ていく。


「もしもし。」


「ちょっと、篤史!?」


スマホを取り返そうとする私の両手の自由を、片手でいとも簡単に奪う。


「昨日はどうも。」


「篤史っ!」


「どうやら、会社の人に内緒で奏と付き合ってるみたいですね。理由は知りませんが。」


「篤史、返して!」


「休日に一緒にいられないような関係なんでしょ?

俺は一緒にいられますから。では、失礼します。」

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