第155話

「義仁さん。」


目を開けると君が心配そうな顔で俺の顔を覗き込んでた。


「嫌な夢でも見ました?」


「嫌な夢?」


「うなされてましたよ。」


今見たばかりの夢を思い出す。


夢の中の俺は、妻子があることに愕然としていた。


妻子がいなかったら…と思ってしまった。


でもそれが、正直な気持ちだ。


妻とボウズには悪いけど。


妻のことは嫌いじゃない。


家のことも育児もよくやってくれている。


でも、妻への感情は、恋愛のそれではない。


ただの「情」だ。

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