第104話
あるとき、うちの部があるフロアの廊下を歩いていたら、妻が、自販機コーナーで関と喋っているのを見かけた。
また運の悪いことに、自販機コーナーの向こうから、奏がこっちにむかって歩いてくる。
焦った俺は、ちょうど右手にあったトイレに入った。
なぜ妻が、用もないこのフロアにいるのかわからないが、同じビルで働くということは、これからもこんなことがあるということだ。
妻も働き出したことだし、そろそろ離婚を切り出して、奏と向き合う時期なのかもしれない、そう思った矢先のことだった。
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