第89話

「あ、篤史が来た。」


卒業以来、初めて会う篤史は、少しだけ大人の男の人になってた。


「奏、元気だった?」


懐かしい笑顔で、話しかけてくる。


「うん。」




なぜか、私と篤史は隣同士になってた。


篤史は昔から端っこが好きで、いつも端っこに座ってる。


研究室内で付き合っていたのは、私と篤史だけだった。


だから、みんな、ホントにただの友達。




「奏、あの時はホントごめん。」


お酒が進んで来た頃、篤史がその話題に触れた。


「もう、2年も前のことだよ、気にしてないよ。」


「1年半前だよ。」


「そうだっけ。」


篤史の浮気相手は隣の研究室の同級のコだった。


私とは全然違うタイプの、キレイ系の大人っぽい人。

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