第80話
「私、頑張って作ったので、棄てるのが勿体なくて、お香をくれた坂本くんに食べてもらいました。」
「お香?」
「言ってませんでしたっけ。私、好きなお香の香りを見つけるのにハマってるんです。」
知らない。
坂本とは、そんな話してるんだ。
「ご飯は、食べましたか?」
「病院が混んでて…終わってからすぐ来たから、食べてないんだ。」
「じゃ、支度しますね。ご家族の方、どうでした?」
「えっ?」
「熱が出たんでしょ?」
「ただの風邪だった。」
「よかった。」
君が安心したというように、笑顔を見せる。
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