第58話
背の低い私は、人の頭を見るようなものだったけど、坂本くんが空いた場所を見つけては、私をそこに連れていってくれ、ちゃんと見ることができた。
「坂本くん!見て!白熊が水中ででんぐり返ししてるよ!」
「あ、ほんとだ。」
混雑してるから仕方ないか。
私の背中のすぐ後ろに、坂本くんの身体が密着してる。
「安藤さん、次…」
「どこ見る?」
「ね、喉乾かない?」
「うん。乾いたかも。」
「何がいい?買ってくるよ。」
「お茶をお願いします。」
了解。
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