恋愛学園の舞踏王様

Ikki

第1話 復讐への助長

始めに言って置こうこれは、俺、八王子純太が舞踏王様になる物語だ。

「何でだよ!何でなんだよ!俺の事が好きだったんじゃないのかよ!」

 その声は、夕陽が沈み、誰も居なくなった教室の静寂を破るかの様に響き渡っていた。

「ピコンッラヴポイントがゼロになっちゃった…ピコンッラヴポイントがゼロになっちゃった…」

 一定のリズムで流れる音声案内は、学園から支給された液晶画面付きの時計がラヴポイントがゼロになった事を告げていた。

彼は、教室の冷たい床に膝を付き、まるで世界が崩れ去るかの様に胸を必死に抑え込んでいた。それは、肉体の痛みではなくは、もっと深いところで渦巻く心の痛みだった。

「痛てぇ…痛てぇ…痛てぇ…恋ってこんなにイテェのかよっ」

 コツッコツッと、足音が響き渡る、彼は、その音に反応し、涙と鼻水でグチャグチャになった顔を教壇に向けた。月明かりに照らされた教壇から現れた美少女は、まるで、漆黒の闇を切り裂き、風のように颯爽と人々を救い出す、ダークヒーローが降臨したかのような光景に彼は、不覚にも心奪われていた。夜風に靡いた黒く長い髪を掻き上げまるで醜悪な生き物を見下すが如く、冷ややかな視線を投げ掛ける彼女。その瞬間、彼女から放たれた第一声は…

「哀れな男ね…」

 まさに、鋭い刃の様な罵倒だった…その刃は、彼の傷つき、砕け散った心の奥深くに、特大の矢が突き刺さったのだった。そして、再び、音声案内が響き渡る。その音声は、死神が囁くかの様に、ラヴポイントの減少を告げていた。

「ピコンッラヴポイントがマイナス1になっちゃった。ピコンッラヴポイントがマイナス1になっちゃった。」

 もう一度言おう、この物語は、八王子純太が舞踏王様になる物語だ。

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