2-1 ハルーラ神殿からの依頼
GM:それじゃあ今回のセッションはハルーラ神殿の司祭、イト=メー司教からセリーナに呼び出しがかかるところから始まります。セリーナが神殿に着くとイト=メー司教と神官戦士団のナンデモ・デ・キルゾ団長が待っていました。キルゾ団長も司教と同じく人間の男性だね。
イト=メー司教(GM):「来ましたね、セリーナさん。今回は神殿の中でも有数の神聖魔法使いと見込んでの頼みがあります」
セリーナ:「私に……ですか?」
GM:イト=メー司祭はプリースト技能を持たないクレリックなので神聖魔法は使えません。キルゾ団長は3レベル程度の神聖魔法を扱えますが、どちらかと言うと近接戦闘をする神官戦士系のキャラクターです。ここのハルーラ神殿で最も高いレベルで神聖魔法を使えるプリーストは5レベルまで神聖魔法を習得してるセリーナだよ。
セリーナ:「つまり布教活動などでなく戦える実働役が必要な仕事ということでしょうか?」
GM:まあ、早い話そういうことだね。
イト=メー司教(GM):「このクロウズネストの街から歩いて3日ほど離れた村で邪教が力を強めています。ラーリスの狂信者が村を襲撃し、実質的に支配している……とのことです」
【狂神ラーリス】
『汝の為したいように為すがよい』を教義として掲げる邪神。魔神と深く繋がりがあり、一説には魔神同様にラクシアとは異なる別の世界の神なのではないかと噂されている。
イト=メー司教(GM):「ハルーラ神殿はこの事態に対応するため、キルゾ団長率いるハルーラ神官戦士団を村に派遣しましたが、『魔剣持ちの魔神』によって手痛い反撃を受けて退かざるをえない事態になりました」
キルゾ団長(GM):「不甲斐ないぞ……」
セリーナ:「魔剣持ちの……どこかで聞いた話ですね?」
イト=メー司教:「あなたのパーティが預かっている異邦のグラスランナーについては報告を受けています」
セリーナ:めちゃくちゃバレてる!
アロン:別にバレてマズいこともないだろう。
ガンデイン:隠すことでもねぇしな。
イト=メー司教(GM):「セリーナさん、『魔剣持ちの魔神』とその魔神を使役する狂信者を討伐し、村を狂神ラーリスの手から解放していただきたい」
セリーナ:「……はい!」
GM:そう言うわけでまあ、今回のセッションはラーリス狂信者の討伐をしてもらおう。セリーナ経由でハルーラ神殿から君たちに依頼が入った形だね。とりあえず場面は〈烏の濡れ羽亭〉に仲間で集まるところから始めようか。
セリーナ:「かくかくしかじかです!」
ガンデイン:「ほーん、魔神退治と邪教の討伐か」
アロン:「『魔剣持ちの魔神』か……早くもリベンジの時が来たってことかな」
ガンデイン:「ピの字の魔剣の片割れも取り返さにゃならんしな。丁度いい話じゃねぇか」
ピッピ:「千載一遇、一石二鳥。飛んで火にいる夏の虫!」←覚えたばかりの交易共通語を使いたがっている。
ガンデイン:「やたらに難しい言葉ばっかり覚えやがって」
アロン:「どちらかと言えばこの場合、虎穴に入らずんば虎子を得ずじゃないか……?」
セリーナ:「油断しているとミイラ取りがミイラになりますよ」
ガンデイン:「あー。まあ、なんでもいいや。張り切って行こうぜぃ!」
アロン:問題の村までは片道3日って言う話だったよな。一週間分の保存食を買っておこう。
セリーナ:そうですね。予備の眼鏡も買っておきましょう。
ガンデイン:そう言う変な無駄遣いをやめない限り10万ガメル貯めるのは無理だと思うぞ。
GM:それでは移動シーンはちゃちゃっとカットしちゃうよ。3日目、村が遠巻きに眺められるほどに近づいたところで、きみたちは異変に気づきます。
ガンデイン:「おーぼちぼち村が見えてきて……あァん?」
GM:見慣れないオオカミのような姿をした怪物が3匹徘徊してるのが見えます。
アロン:「何か居る……魔神か!?」
セリーナ:「あれは……」
ピッピ:「魔界で腐るほど見た異界の猛獣、アザービーストだっぴ!」
GM:勘がいいね。その通り、こいつらは異界の猛獣、アザービーストだ。
セリーナ:ハルーラ様の神聖魔法【ディスクローズ・デーモン】を唱えて魔神に対する魔物知識判定に+2のボーナスをもらいます。(コロコロ……)合計21です。
GM:それじゃあセリーナには異界の猛獣、アザービーストであると分かる。
セリーナ:「あれは…! 異界の猛獣、アザービースト!」
アロン:さっき聞いたよ。
ガンデイン:俺も振るだけ振ってみるか。(コロコロ……)おっ、自動成功。「おおっ、ありゃあ異界の猛獣、アザービーストじゃねぇか!」
アロン:ガンデインまで……
セリーナ:アザービーストは純粋暴力に弱いと聞きます。物理で殴りましょう。
GM:今回の戦闘ギミックを説明します。アザービーストは吼え声によって増援を1体ラウンド終了時に呼びます。プレイヤーが「あっ、アザービースト増えすぎてこれ無理だな」となったら冒険者レベル+敏捷度ボーナスで逃走判定を試みることができます。逃走判定に失敗しても逃走自体はできますが、撤退時に威力30の確定ダメージを受けることになります。
ガンデイン:ハハハ、なに言ってんだGM。そんなポンポン増援が出てきてたまるか。
セリーナ:3倍拡大した
【フォース】
ガンデイン:「兄貴ィ、あいつらほっとくと仲間呼んで増えるぜ! さっさとブッ倒さねぇとドンドン湧いて来やがる!」
アロン:「本当か? 厄介だな……」流石に増援を呼び続けられると厳しいかもしれない。
GM:では戦闘始めていこう。まずは先制判定から。アザービーストの先制値は12だよ。
ピッピ:(コロコロ……)先制判定は14。抜いたっぴ。
ガンデイン:よしっ、でかしたぞピの字! 先手取れたなら【ショットガン・バレット】を浴びせてやらぁ!
【ショットガン・バレット】
魔力を込めた弾丸が散弾となってはじけることで複数体の敵に攻撃できる強力な魔動機術。
ガンデイン:この魔法、使うたびに思うんだけど範囲攻撃の消費MPが2だけで済むのは安すぎじゃねぇか? (コロコロ……コロコロ……コロコロ……)18点、17点、19点。っしゃあ!ダメージは十分。
ピッピ:あの鉄の杖を使った魔法、強いっぴねえ。
ガンデイン:なんだ、魔動機銃が珍しいのか? セの字、後は【フォース】で頼むぜェ!
セリーナ:はい! ぶっ殺します!
ガンデイン:公式リプレイになるんだから……お前はもうちょっとエルフらしく、お淑やかにできねぇか?
セリーナ:【フォース】を3倍拡大して撃ちます(コロコロ……)。
GM:アザービーストたちは精神抵抗に失敗。ダメージちょうだい。
セリーナ:12点、10点、12点です!
アロン:オレは比較的HPの残ってるやつを狙おう。(コロコロ……)命中18ならどうだ?
GM:当たったよ。
アロン:ダメージは(コロコロ……)17点!〈スティール・ブレイド〉で胴体をまっぷたつにする!
GM:その攻撃でアザービーストが1体死亡した。
ピッピ:1体、HPが1点しか残ってないアザービーストが残っているっぴね? 前に出てそいつをナイフで刺すっぴ。(コロコロ……)命中16。
GM:当たった。アザービーストの2体目が死亡。プレイヤー陣営の行動はこれで終わり。1体だけ生き残ったね。返しの手番をもらってアザービーストはランダムな対象に攻撃。(ころり……)じゃあアロンのほうに行った。
アロン:当たる可能性はそこそこあるんだよな。(コロコロ……)よし、とりあえず躱した。
GM:アザービーストの手番の終わりに増援として敵の後方エリアに次のアザービーストがやってきます。こいつも生かして手番を回すと更に増援を呼ぶからね。
ガンデイン:「うおお、増えやがった!」
アロン:「冷静に対処しよう。倒しきれない数じゃない」
セリーナ:再び
ガンデイン:
アロン:なんで魔神を憎む背景設定がある俺より、セリーナの方が魔神に対して当たりが強いんだろうね……。
セリーナ:ふふん。ハルーラ様が私に魔神を根絶やしにしろと囁くからですよ。
GM:【フォース】の
セリーナ:ウォー!ウォー!(勝ち鬨を上げている)
アロン:俺も負けてられないな。増援のアザービーストがいる後方エリアに通常移動して、〈ディフェンダー〉を鞘にしまい魔剣を抜刀。〈魔神ばんばんブレード〉……改め、〈アビスポーター〉と名付けた魔剣を抜くよ。
ピッピ:「ばんばんブレードー!」
セリーナ:「アロンくんの抜いた剣、あれは……ばんばんブレード!」
ガンデイン:「オメーら好きだなぁその名前よぉ! ぜってぇー〈アビスポーター〉の方がいい名前だって! なぁ兄貴!」
アロン:「そう言われると少し恥ずかしくなるな……」
ともあれ殴ります、魔剣の冴えを見せてみろ! (コロコロ……)威力表の出目は8。クリティカルにはならないが高めの目だね。
GM:いや、その魔剣《魔神ばんばんブレード〉は出目8でクリティカルが発生するよ。
アロン:そうなの?
〔出目8でクリティカル〕
通常、ロングソードのクリティカルは出目10以上で発生するが魔剣バンバンブレードは〈ロングソード+2〉相当であるため命中とダメージが+2され、クリティカルに必要な出目は2下がっている。
この+2の魔剣がクリティカルしやすくなるというルールは初代『ソード・ワールドRPG』の選択ルールであり、あまりに強すぎたため『ソード・ワールド2.5』では削除されている。
アロン:それじゃあ、クリティカルして振り足し……続いて右手の〈スティールブレイド〉で追撃だ。
セリーナ:「がんばれ
ガンデイン:盗みじゃなくて鋼のスティールだ、バカ。
アロン:(コロコロ……)14点。
ピッピ:ピッピも前出てナイフで切りつけるっぴ。9点だと、どう?
GM:最後の一匹がHP3点で耐えてます。
ガンデイン:オイラぁ、HPミリ残しの処理はそんな得意じゃねぇんだけどな。
セリーナ:いけぇ! ガンちゃん、ぶっ殺せー!
ガンデイン:セの字はなんで魔神相手だとそんなに好戦的になるかねぇ。しかし、3点か。……こういうHPの低い敵を処理する用の拳銃とか投擲武器とか買ってもいいかもしれねえな。【クイックローダー】の魔法で弾丸をリロードして【クリティカルバレット】だ。(コロコロ……)っしゃあ! 牛の眼ェッ! 18点」
ピッピ:乱戦エリアに構わず遠距離射撃を撃ってきた!? 誤射が怖くないっピか!?
ガンデイン:なんの話だよ、ターゲッティングあるだろ?
《ターゲッティング》
『ソード・ワールド2.5』の基本的な戦闘特技。敵味方の入り乱れる乱戦エリアに遠隔攻撃を行っても味方への誤射が発生しなくなる。
初代『ソード・ワールドRPG』には存在せず、そのことが弓矢などを用いた射撃戦術を難しくしていた。
GM:ではガンデインの攻撃で最後のアザービーストが倒れて戦闘終了。代表者は戦利品振ってちょうだい。
セリーナ:アハハ! ぶっ殺した魔神の戦利品はすべて私の物です!
ガンデイン:ちゃんと公平に分けろや。剥ぎ取りにボーナス付いてるのはオメーだけだから剥ぐのはいいけどよ。
セリーナ:(コロコロ……コロコロ……コロコロ……)
GM:合計で1,000ガメルだ。結構な稼ぎになったね。
セリーナ:これ、アザービーストの最後の1匹をギリギリでHP残して増援を呼び出し続けてもらえば無限稼ぎできましたね。10万ガメル稼ぐチャンスだったのかも。
アロン:俺も考えたけど言うのやめたことを……。
ガンデイン:兄貴とピの字は戦えてもオイラの弾丸とMPが足りねぇんだわ。
目的の村に到着する前に、村の周囲を徘徊しているアザービーストの群れと戦闘になった冒険者たち。事態は思ったよりも深刻かもしれない。次回、ピッピ命がけのスニークミッションへ続く。
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