この世界は愛で満たされている

影山 みはつ

第1話  ミツル

母親のツキヨが、「ミツル。ご飯よ」とミツルに声を掛けた。

ミツルが「はーい。今行きます」とツキヨに返事を返した。

ツキヨが「やっぱり、きちんとご飯の時はご飯で来てくれないと困るわね」と少し不機嫌そうな顔をした。

ミツルが「ごめん。今度から、そうする」と視線をツキヨに見せた後、ご飯に視線を戻した。

ミツルは「いつものうるさい母親の愚痴は聞きたくないな」と心の中で思いながら、お茶碗を置いて、箸で味噌汁を飲んだ。

ジュルジュルと言う音を立てて味噌汁を飲んで、2階に上がって行く。

ツキヨが「ちょっと、箸とか食器を洗って行きなさいよ」と注意が飛んだ。

ミツルは「あぁ・・・」と頷きながら、早々に立ち去って部屋のドアを閉める。

ツキヨは仕方なく、ミツルの食器と自分の食器を洗って居た。

リョウタが「ミツル。遅かったな」と電話でリョウタと話して居ると、ミツルは「今さっき、ご飯を食べて居たから遅くなった」と正直に話した。

リョウタが「でさ、最近良い事無いよな?やっぱ、女でもナンパするか?」とミツルに話をして居ると、ミツルは「あぁ。でもナンパはやり過ぎだろう」とリョウタに返事をした。

リョウタは「ミツルって優しいよな?そんなに優しすぎても女に嫌われるぞ」と厳しく突っ込まれた。

ミツルは「そうかな?昔から自分がされて嫌な事は相手にもするなって親にも教えて貰ったから」とリョウタに説教臭く言った。

リョウタが「何だよ。それ誰の受け売り?」と質問されて、ミツルは「え?昔から言われて育ったから、そんな誰かを騙して、何かしたり奪ったりしたら駄目だよって教わった」と率直に答えた。

リョウタが「ちぇ、面白くないの。それじゃ、女にもモテないぞ」とミツルを急かすように話し掛けた。

ミツルは「そんな事よりさ、今度の期末試験範囲何処から、何処だよ」と聞いたのだが、リョウタも「俺も知らないよ。分からないから違う人に聞いて」と話をして即座に電話を切った。

ミツルが「ちぇ。期末テストの範囲くらい教えてくれたって良いじゃないか」と壁を足で叩くと痛かった。

ミツルは寝る前に今日の良い事を数えたかったが、「良い事が何もない」と心の中で目をぱちくりしていた。

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