プロローグ
第1話
『……異議あり! それは明らかなる誘導尋問です!!』
幼い少女の初恋の相手は、二時間サスペンスドラマの主人公である若手弁護士の男だった。
ドラマの内容は、その若手弁護士の男が、無実の罪を着せられた被告人を救う為に奔走するという、実にありがちなもの。
だが、額に汗を流してあちこち走り回り、やがて法廷で確固たる証拠や証言を次々と披露。ついには真犯人である検事の女に両膝を付かせた彼の正義感溢れる姿に、少女はひたすら感動したのである。
「かっこよかったなぁ~、あのおにいちゃん……」
ドラマが終わった直後、うっとりと表情がとろけていた少女の口から、自然とそんな言葉が出てくる。ほわほわした気分は治まらず、何だか頬が熱いような気がした。
「あ、でもね」
少女は肩越しに、くるっと振り返る。
少女がいるのは、リビングのテレビのすぐ前だ。そこから少し離れた大きめな革張りのソファに、一人の中年の男がゆったりと座っている。
風呂上がりだからか、がっちりとした体格に柔らかそうな毛並みのガウンを羽織っている男に、少女は小さい歩幅で近付いていった。
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