第3話

そうそう。あなた達は何の問題もなく、無事に目を覚ます事ができます。


 あなた達がこの三途の川のほとりに連れてこられちゃったのは、こちらのミスなんです。何せ、誰がどういう状態に置かれていたのか、バタバタしてて本当に分かんなかったものですから…。


 そこで私が、ここに来た次第です。


 皆さんの本体は今、搬送された病院で静かに眠っていらっしゃいます。今なら、何の問題もなく生き返れますよ。


 私が病院まできっちりお連れ致しますので、皆さん、どうぞ爽やかで感動的な奇跡の生還劇をお果たしに…。


「…いや、構わん。ワシはこのまま死ぬよ」

「あたしも。別にもういいし」

「僕、もう起きたくないよ」

「私もです。早く、あの世って所に連れていって下さい」

「皆もそうみたいだから、俺もパスな!」


 …え?


 えっ?えっ…!?


 え~~~~~~~っ!?


 いやいやいや、ないないない!


 どうしてですか、皆さん!?皆さんは何も問題ないんですよ!?まだ、死ぬ必要ないんですよ!?


 何でまた、この滅多にない道を自ら放棄するんですか!?


 ちょっと…え~~~~~っ!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る