第五章 -二十四歳-

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第117話

『五月十八日、土曜日。天気は曇り。風が少し強め。


 今日の朝、目が覚めた瞬間に、反省を二回した。


 一回目は、せっかくこの前の女の子(宏樹はアンザイって呼んでた、下の名前は何だろ?)に会えてホッとしてたのに、謝るどころか、またひどい事を言ってしまった。


 自分のせいで宏樹に怪我させたなんて言ってたけど、今、冷静になってみれば、あの子はそんな悪い子には見えない。きっと、また何かの事情があるんだ。それなのに、僕は…。次に会ったら、今度こそ謝ろう!


 二回目の反省は、そうやって興奮してたせいで、宏樹にまでひどい事を言っちゃった事。いい成績取らなきゃ絶交だなんて…何考えてるんだ、僕のバカ!


 宏樹は僕の夢を繋げてくれた、たった一人の親友だ。そんな宏樹が、例えどんな事があったって無様な結果を残すはずない!!


 …ダメだな、僕は。宏樹に元気だった頃の自分を重ね過ぎちゃってる。だから、あの子にもきつく当たっちゃったんだ。


 もう走れないんだと悟ったあの日から、今の自分を受け入れる覚悟はできてただろ、僕。もういい加減、切り替えろ!今は宏樹の足の全快を願って、それから…あの子に、アンザイさんに次に会った時に言うべきお詫びの言葉を考えよう。




 昼過ぎになって、学校が終わった優衣がお見舞いに来てくれた。


 来週の宏樹の試合のビデオ係を頼んだら、いつもの二倍くらいのテンションで引き受けてくれた。


 何か、怪しい…まさか優衣の奴!!ダメダメ、まだ早過ぎだろ!!』

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