第4話
ファンファーレが鳴り終わる。一瞬、静寂が校庭を支配したが、すぐにスピーカーからウグイス嬢の声が響き渡った。
『会場にお越しの皆様、長らくお待たせ致しました。只今、この時より「国家認定国民断罪法」Case.1の施行を宣言致します!』
その途端、集団のすさまじい歓声が一気に広がり、校庭の空気がぶるりと震えた。
男の子は、ぎゅっと固くまぶたを閉じた。そして、子供心に思った。もう決まった事なのだ、逃げられないんだと…。
ウグイス嬢の声はさらに続いた。
『今回、Case.1の裁人(サバト)になりましたのは山岸洋介(やまぎしようすけ)さん。亡くなられた奥様と娘さんの為に立ち上がりました。勇気ある山岸さんに、盛大な拍手を!』
スポットライトが、一斉に黒の乗用車を照らす。男の強ばった顔が見えると、集団から大きな拍手が起こった。
『続きまして、執行を受けますのは“元被告”鳴神浩一(なるがみこういち)の息子、鳴神裕也(なるがみゆうや)となります!』
スポットライトは、次に男の子に光を当てた。
男の子はまぶたを閉じてうなだれたまま、二、三歩、ゆっくり前へ進んだ。
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