「あくまで、対象年齢でしょ!」というJKは妹の推し活仲間になった件

花見 はな

第1話 出会いのショッピングモール

「おーい、瑠璃。もう帰るぞー」

「・・・」

高校1年の大切な夏休み特に予定の入らなかった、俺【笹原凛太郎】は年の離れた妹【瑠璃】の世話を親から頼まれ、ショッピングモールの玩具売り場に来ている。

帰ると言ったが瑠璃の耳には何も届いてないみたいだ。それも仕方ない、瑠璃の前には絶賛ハマっている魔法少女ロリポップ★キャンディのグッズが沢山置いてある。まだ5歳の瑠璃には中々離れがたいのだろう。

「にーに、まだ帰らないの!」

キラキラした目で、変身コスチュームやそういう系のアニメによくいる妖精などのぬいぐるみをしゃがみこんで見る妹を微笑ましく眺めていると妹の隣に見た事ある奴がいた。

私服だが間違いないだろう、同じクラスの【春山こより】。学校の時と同じ茶髪ツインテールにピンク色のワンピース、制服のベストもピンクにしている春山らしい服装だ。

特に春山とは話した事ないがクラスで目立つタイプだから覚えてはいた、だけどどうしてここに居るのだろう。売り場の内容的に瑠璃くらいの年代がほぼほぼだし、それ以外は俺か親世代がちらほら居るくらいだ。

(俺と同じで妹か弟でもいんのか…。)

年の離れた兄妹がいるならここに居ても納得だ。ちょっと気になってしまい、周りを見てみるがそれらしい子供はいない。不思議に思っていると甲高い声が耳に響く。

「なっ…、なんでいんのよ!!」

声がした方を見るとさっきまでしゃがんでいた春山の目が潤みながらこちらを見ており、顔は真っ赤になっている。

(えっ、俺なんかした?)

どう返したらいいか分からず、そのまま春山の事を見つめ続けていると

「もうっ、なんか言いなさいよ!バカーー!!」

捨て台詞みたいなのを言いながら春山は走って行ってしまった。周囲の視線が刺さる中。

「えー、バカってなんだよ…」

春山の背中を見ながらつい独り言がでてしまう。

そんな俺の事をグッズを見終わった瑠璃が

「にーに、女の子泣かせちゃダメよ!」

と怒ってくる。

「いやっ、にーには泣かせてないぞ」

「でも泣いてたもん!!」

「それは、その……」

「ママに報告なの」

「ちょ、それは、るりーー!」

得意気な顔をする瑠璃は先程までは比べられないほど家に帰る気満々になり、先に歩き始める瑠璃。

(家に帰ったら絶対めんどくさい…)

走って行ってしまった春山よりも、家に着いてからの事を考えてしまう俺であった。

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