君が私を忘れてしまったとしても。

みずき

プロローグ

「ぜっっっっったいにみんなで清水学院に受かるぞぉぉぉ!」

「清水コースの絆は不滅だぁぁぁ!」

塾に通う最後の日。

志望校別コースが清水学院のみんなで、声を張り上げた。

みんなで、頑張ってきた。

最初のときは過去問なんて意味わからなかった。

全然解けなかった。

しかし。

今では、みんな合格点を余裕で超えるぐらい、点数がとれる。

クラス最下位の松下まつしたでさえ、

合格点を超える点数を取れるようになった。

だから、みんなしっかりと受かる。

はず、だった。

合格発表の日。

清水コースのみんなを、合格発表会場で見つけた。

でも、

ただ一人、島井涼しまいりょうが、いなかった。

きっと、ネットで合格発表を見るのだろうと、みんなそう思って、

自分の番号を掲示板から探した。

「あ、あった!」

同じ小学校の、船野唯羅ふなのゆいらが声を上げた。

すると次に、

「あ、私もあった!よっしゃああ!」

と、親友の篠奈緒しのなおも声を上げる。

その瞬間、私も自分の番号を見つけた。

「あった、あったよ!やっったあああ、合格だぁぁぁ!」

思いっきり叫ぶ。

そのすぐ直後に、

「あ、俺あった!」

と、佐納優太さのうゆうたが、声を上げる。

それとほぼ同時に、

「俺もあった」

と、平田黎人ひらたれいとも、声を上げる。

そして伊藤藍いとうあい

「受かったよ」

と声を上げ、最後にみんなで松下裕太まつしたゆうたを見つめる。

すると、松下は、

「受かった!」

と、にこにこして、顔を上げた。

これで、島井が受かっていれば、みんな受かったことになる。

クラス最下位の松下が受かっているのだから、

クラスの上位だった島井も受かっている。

そうに決まっている。

みんな、このときは、そう思っていた。

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