第12話 時には信頼も
「やっぱり何かが違う」
配信を終えてそう口に出した。
伸びもそうだし、私がやりたいこととは何かが違うの。
誰かに相談…しようかな。
でも他人を頼る、そんなことが私には出来なかった。
過去に捕らわれて、今も引きずっている。
ダメダメだな………。
『春陽、やっほ~』
と急に通話に入ってきたのはプリーム。
あ、配信用の通話から抜けるの忘れちゃってたか。
「ん?あ、プリーム。どうしたの?」
さっきまでの気持ちを押し込めるようにそう言った。
でも彼女の勘はそこまで甘くない。
『そっちこそ、最近大丈夫なの?』
「どういうこと?私は大丈夫…」
そう言い切る前に、プリームが遮った。
『大丈夫じゃないでしょ。話聞くよ?』
はあ、まったく。
プリームは鋭いなぁ。
それが悲しいようで、でも気が付いてくれたのが嬉しかった。
今私が頼れるのは彼女だけ。
「いや、いいよ。」
プリームに迷惑は掛けたくなかった。
私はそう言って通話を抜けようとすると、
『良くないよ?私をもっと頼って良いんだよ?』
「でも…」
『でもじゃない!こういう時に居るのが仲間でしょ。もっと頼ってよ』
「……ごめん」
『謝らないで良いよ。でもせめてもっと頼ってほしいな。無理にとは言わないからさ』
プリームって優しいな。
初めて会った時からずっと、、、
ちょっとくらい頼ってみてもいいかな。
そう思えてきて、今感じていることをそのまま話してみる。
『そっか~つまり春陽は今のままじゃ焦ってると』
「うん…プリームも含めて皆人気なのに私だけ…」
『そんなことないさ、それに50万も20万も変わらないよ。』
「どういうこと?」
彼女の言いたいことがさっぱり。
『今いるファンを楽しめるのが一番いいと思うよ。それに春陽のしたいことをしてみるのもいいんじゃないかな』
「でも、…それだとファンが少なくならない?」
『んー確かにそうかもね。でも、それでも良いと思うよ。』
「え?」
ファンが減る。
これはVTuber業界にとって致命傷なんじゃないか。
グッズも含め、何もかもが落ちたら、それこそ私の価値は……。
『自分がしたいことに付いてきてくれるファンを大切にするのも良いことだと思うよ。それにいずれ人は増える。春陽のFPS、私も見たけど凄かったし』
ああ、やりたいことまで見透かされてる…。
「本当に、でも、」
『とりあえずやってみなって~。自分が配信を楽しいと思えるようになったらもっと色んなことにチャレンジ出来ると思うよ。それまではまだ色んなことをしなくたっていいよ。』
「それも…そうなのかな」
プリームは私のために一生懸命考えてくれたかもしれない。
実際私も、それに同意な気がしてきた。
ちょっとくらい方針がねじ曲がっても良いのかも?と思えるようになってきた。
「ちょっとだけ頑張ってみる…」
『うん!あ、そうだコラボしようよ。そしたら春陽の凄さも増えていくだろうし、ね?』
コラボか……私まだしたことないな。
ちょっと夢ある世界な気がする。
「う、うん。その時はまた楽しみにしとく」
そう言って通話から抜けた。
仲間を頼る……か。
昔の私なら想像にもつかないことだったけど、
今なら良いなって思えてくる。
プリームに相談してよかった。
私にとって大事な人そのものだな…。
とりあえず、思ったらすぐ実行に移すまで。
私は今までのスケジュールも含めて、マネージャーさんに連絡を入れた。
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【後書き】
ちょっと内容が薄かったかもしれない!
ごめん!
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