不登校でFPSゲーマーの女子中学生、好奇心で応募したらVTuberになっちゃったので無双します
白崎 奏
第1章 最初の一歩
第1話 プロローグ
「大人になったら将来何がしたい?」
幼い頃、私は両親からそんなことを聞かれた。
「うーんと、えーと、おかしつくるひとになりたい!」
「それはどうして?」
「えっと、みんなをえがおにしたいんだ!」
「すごいね、きっと
「でも、でもむずかしそうで、できるかこわいよ」
「ふふ、可愛い子ね。これから先、どんなに難しいことがあっても春なら乗り越えられるよ。」
「だから、一歩ずつ頑張ればいいの。一歩ずつね。」
「一歩ずつ…か」
まだ物心も付く前の出来事、だけど鮮明に覚えているのはなぜだろう。
それはやっぱり学校の先生になるという夢を諦めたからなのだろうか。
それとも…一歩ずつ踏み歩くというのが怖くなったからなのだろうか。
「そんなのもう、私には出来ないな」
またとある日、私は突然こう思った。
私は何をやってるのだろう…って。
私は何のために生きているのだろうって。
そんな時、一筋の光が私を招いた。
『どうも~バーチャルVtuberの
それが私にとっての初めての推しだった。
無気力状態で、無意識に開いたこの配信。
私の人生のプロローグはここから始まったのかもしれない。
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「はぁ、今日も可愛いな楓ちゃん」
ベットに転がりながら私はスマホの画面を凝視する。
『今日は、えっと、なんだっけ?あ、そうそう。案件頂いたんだった』
「何忘れてんだよっははは」
私が見ているバーチャルVtuber、彼女は楠木 楓。
Vtuber界隈において四天王と呼ばれる1角に位置する超有名Vtuberだった。
その名が穢れることもないくらいに、彼女の配信は凄く面白い。
だから私ははまってしまった。
『この焼きそばめっちゃ美味しい~!最高~!しかも今なら私とのコラボ商品があるらしいからね。絶対買ってね~!』
「え、まじ?」
彼女を推してもう1年が経つ。
部屋中には彼女のグッズで敷き詰められている。
昼間はゲームをしたりして、夜は配信を見る。
そんな
それが私、
一応これでも中学2年生。
けれど、もう学校には行ってない。
私にはあの世界は合わなかったから…。
先生や両親は私の意見を認めてくれた。
『君の人生は君自身で決めるんだよ』よか
『好きにしていいよ、私達は付いていくから』とか
『春の気持ちを尊重するよ。』とか。
私は環境に恵まれている部類だと思っている。
でも、彼らの期待に未だ応えられていないのが私の悩みであり、これからの課題。
「なんか私の人生が一転しないかな~」
そんな呟きなど誰にも届かない。
それでも声に発したくなるのは、もはやこの1年で習慣化された。
『というわけで、今日の配信はおしまい~見てくれてありがと!』
あ、終わっちゃったか…。
この配信が終わると本当にすることがなくなるので、色んなことを考えてしまう。
「あーあ、どうすれば私は変われるんだろう」
こんなこといつも思っている。
けれど行動にまで私は毎度写せなかった。
いっそ、学校に行ってみたり…?
「ないない、私には無理だ」
少なくとも高校生になるまでは無理かな。
あの世界が私には合う気がしないよ。
皆が怖く見えてくる。
検索で〈自分を変えたい 方法〉
などといつもあてにならない検索ボタンをぽちっと押す。
すると、いつも見ていなかったサイトがトップに出てくる。
「ん?なにこれ」
〈自分を変えたいあなたへ、HESKAL2期生の募集!〉
なにやら、企業の求人らしい。
一応募集要項でも見てみる…か。
「え、これ中学生以上からなんだ。私行けるじゃん」
でも、何をするの…ん?
「え、皆を笑顔にするVTuber…え、これじゃん!」
凄く面白そうなんだけど!?
HESKALって聞いたことあるなーって思ったらそうじゃん!VTuber企業じゃん!
たまに楓ちゃんとのコラボ先がHESKALだったような気もする!
「どうしよう、凄く面白そうなんだけど…でも倍率やばそう、か」
今どんどんブームとなり人気度急上昇している職業でもある。
募集数は不明だけれど、きっと募集人数よりはるかに少ない。
「こんな私じゃ流石に無理かもなー」
今まで中学生活ろくに過ごしてこなかったし、コミュ力もまったくない。
そんな私につとまる気がしない。
そうだよね、応募は止めよう。
一旦サイトを閉じる…前に募集用動画とか見てみるか。
ダメだ。
やってみたい、という気持ちがどうしても上回ってしまう。
「ま、まあ応募するのは自由だしね、ね」
そう自分に言い聞かせた。
お試しで応募の気分を味わうだけ…そう思いつつもどんどん応募ページは進んでいく。
いつの間にかラストのページ。
そこにはこんな質問が書かれていた。
〈あなたは本当に皆を笑顔にしたいですか〉
質問は単純。
私には本当に出来るの…かな。
ここで私は踏みとどまってしまう。
「ああああどうしようううう」
私が皆を笑顔に?
出来るのか分かんないよそんなの。
はあどうしよう、と思い詰めていると、
「どうしたのー?」
と部屋のドアがガチャリと空いた。
「あ、
入ってきたのはお母さん…ではなく両親が雇ったお手伝いさんだ。
言うなれば家政婦っていう感じかな。
まだ1年半という短い付き合いだけれど、もはや家族同然だと思っている。
両親はどちらも仕事で忙しくてあんまり家に帰ってきてくれない。
もちろん帰ってきたときは3人でめいいっぱい遊んでくれる。
けれど最近は更に忙しくなったのか、帰ってくれる頻度も更に下がった。
だから私は怜夏さんと接していることの方が多い。
「大丈夫よ、ただ春が少し叫ぶなんてちょっと気になるじゃない」
「あーえっと…」
どうしよう、この話をしようかな。
否定されたら凄く嫌。
でもこれが人生を変えるきっかけになるかもしれない。
私は人生を変えたいんじゃないの?そうじゃないの?
「実はVTuberの募集を見かけて応募しようかなって」
「えっ?」
流石に彼女も驚いている。
そうだよね、やっぱり私が配信者っておかしいよね。
「良いじゃないの!応募しなさい!」
「え?」
「え?じゃないよ。春が新しいことにチャレンジするなんて皆が応援するわ。両親なんて飛び跳ねて帰ってくるんじゃないかしら」
「えぇ、でもこの質問に本当に答えれるか不安で…」
私は画面を指さしながらそう答える。
「え~春なら出来るって、やってみなさい。やらずに後悔するより、やって後悔する方が良い経験になるわよ」
怜夏さんがそう言うならそういうことなんだろうなぁ。
私は深呼吸する。
今まで色んなことを考えてきた。
このまま私は何になるんだって。
将来どうしたいんだって。
そう自分に言い聞かせてきた。
けれど決まった気がする。
覚悟を決めた。
それは本当に狭き門で、私が通れないものかもしれない。
けれどいざチャレンジしないと分からない。
今まで何も私は出来なかった。
そんな自分を本気で変えたい。
だから…
「VTuber応募してみようかな」
人生の歯車がちょっとずつまた動き出した。
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【後書き】
どうも、白崎奏と申します。
カクヨムコン用に作った私の二つ目の長編です。
結構頑張ったのでぜひ最後までよろしくお願いします!
面白いと思ったら星、フォロー、ぜひお願いします!
レビューや感想もお待ちしています!!!!
実はこの作品の主人公である春は、別サイドのストーリーでも登場します。
ぜひ読んでくださいお願いします~!
「世界でも注目されている元プロゲーマーは、隣の幼馴染のせいでVTuberになる」
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