魔法女子クララベルがイジメっ子を狩る理由

山田 勝

魔法女子クララベルのイジメっ子を狩る理由

私は佐伯幸子、高校一年生、高校に入ってからイジメにあっている。

メガネをかけているから?休み時間本を読んでいるから?あまり、話さないから?

きっかけは分からない。


クラスのムードメーカーの女子とその取り巻きの男子2名にいつもメイドのように扱われている。


先生に言っても、ふざけている程度にしか見られない。

仕返しにイジメがヒドクなった。


そんな私を心配して親がカンセラーに相談した。

したら、すぐに学校に訪れて、放課後、カウンセリングを奴らと一緒に受けることになった・・・・


カウンセラーの名は念仏久良羅鐘先生だ。

親にDQNネームをつけられ、壮絶なイジメに遭った経験を糧に自らイジメ撲滅の会のNPO法人を立ち上げたそうだ。


一応、評判らしいのだけども・・・奴らと談笑をしているだけだ。




「キャハハハハ、念仏久良羅鐘(ねんぶつくららべる)って、変な名前、先生、その名でいじめられたでしょう」


「ええ、そうね。クラス中からイジメにあったわ」


「やっぱり、だからイジメ撲滅の会なんて活動しているんでしょう。でも、私はイジリだよ。嫌なら嫌といわない佐伯が悪い。言えないのなら諦めなって感じ。先生も嫌と言えなかったんでしょう」


「ええ、そうね」


「少しはやり返しなよー」


「最終的にはやり返したわ。全員殺しちゃったの」


「ギャハハハ、ウケる~、そんな事件ないって」


「ええ、異世界で殺したから、立証できないわ」


「あ、俺知っている。風前高校の集団神隠し事件、失踪から2年後に一人だけ見つかったって、噂があるけど、念仏ちゃんが?」


「本人ですわ」


「報道規制がされた噂があるけど、本当かよ。都市伝説じゃない?」


「マジ、ウザ、これから、ダンスサークルあるから、結論を言ってよ」


「そうね。佐伯さんの教科書に落書きをしたのは悪い事よ。反省して、謝罪してくれないかな」


「チース。佐伯メンゴ」

「「申し訳ありんごー」」


「・・・はい」


「ヨシ、これで仲直りね。じゃあ、解散していいわ。担任の先生には仲良くなったって言っとくわ」



・・・ヒドイ、とんでもないカウンセラーだわ。教科書に落書きをされたのをお母さんに見つかって、このNPO法人の先生に連絡をした。

適当な処置・・・こんなのが本当に評判のカウンセラーなのかしら・・・・



案の定、3日後、呼び出しを受けた。

公園だ。人はまばらだ。



「あたしたち友達だよね。何故、チクったの?」

「風和さん。ごめんなさい」


「あ~、聞こえないんですけど」

「で、どうする今日のイジリは?」

「あそれ、俺、大声でタンタン狸の金玉は~って、歌って欲しいな」

「それ、いい」


「・・ぃゃ」


「あたしたち友達だよね。根暗な幸子ちゃんのために、度胸をつけさす愛のムチ・・何、この音」


バンバンバン、パラリラ、パラリラ、パパパン♩

ブゥ~ンブンブン!


ヒィ、背もたれのあるバイク、皆、特攻服というものを着ているわ。

公園の入り口でバイクを降りて、こちらに向かって来る。


10人・・・いえ、他からゾロゾロと30人はいるわね。


「ヒィ、たっくん帰るわよ」


公園の人達が、恐れて帰っていくわ。




「暴走族」

「特攻服だ。だせー、今時・・・あ、れ、降りてこちらにまっすぐに向かって来る」

「あ、あのカウンセラー先生もいるぞ、ほら、3日前ぐらい前に、俺たちを面接した」


「念仏ちゃん?」

「なら、大丈夫だ」




「チース、お前ら、どこ中?」


「ヒィ、先輩、山の手高校です」

「アハハハハ、知っているよ。一応、聞いただけだ」


「風和ちゃんでーす。名前は愛瑠(める)でーす。皆さん。これから、この佐伯が歌を歌いまーす。ギャ!グゲ-」


ボコ!


「はあ?キャラウゼーんだよ。何?私はサバサバした女ですってか?」


風和さんが声をかけた女性の・・・ヤンキーが腹を殴ったわ。

風和さんのおしゃべりが通じないの?


人だかりの後ろからあのカウンセラーが現れたわ。



「佐伯さん。3日ぶり。ごめんなさいね。興信所の人に後をつけてもらったの」

「念仏先生・・・これは・・」


「そうね。佐伯さん。見ておきなさい。これから天下の一武道大会を始めまーす!

選手は、風和さんと、そこのデブと金髪ガリ、対して、DQNチームは大木君一人で十分ね」


「オッス、姉御」



それから、公園に円を描いて、その中で、一方的な暴力が始まった。


ドカ!ガキ!バカ!


「プギー、やめて、やめてー鼻折れた!」


「風和さん、聞こえないわ。これ、そもそもイジリだから大丈夫。ね、佐伯さん」


「わからない・・です」


「暴力はね。やめてくれて有難うというまでやると負の連鎖が止るわ。ね、大木君」


「ウッス!オラ、オラ~」



三人とも、虫の息だ。周りに人がいるが、誰も止めない。


三人ともたてなくなって、「ヒーヒー」と息をしている。



「あの、この方々は?」


「DQNよ。DQNを統率すると珍走団になるの。あら、チームだっけ。でも、威嚇の面から珍走団よね」


「「「オッス、姉御」」」


「いい、お前達、どうせ、この先の人生、真面目に生きることなんて出来ないでしょう?せめて、必要悪になりなさい」


「「「オッス、姉御」」」

「でね。佐伯さん。こいつら、爆音を聞いたとき、どんな顔をしていた?」


「はい、怖がっていました」


「ね、たいしたことないでしょう。辛かったらこいつらの顔を思い出すのよ」



その時、やっと、いえ、5分ぐらいだったと思う。警察がきた。


「そこの者たち、何をしている!」



「あら、もうきたのね。じゃあ、ヒール!」


ボア~


風和さんたちが青い光に包まれて、出血が止った。



「私、こういう者です」


念仏先生が名刺を見せたら、警官が笑顔になって、敬礼をした・・・



「ご苦労様です。魔王劇団の皆さん」

「いつも通り、こいつら怖くて地面に寝ているだけですね」

「どっきりカウンセラーご苦労様です」

「いじめっ子にDQN役の役者に脅させて荒療治、政治家のお墨付きだから安心ですね」


「オホホホホ、お勤めご苦労様ですわ。署長様にもよろしく」

「「「チース」」」



「ほお、君は大木さん。有名な格闘技家だったね。応援していたよ」


「ども、その節はお世話になりました。プレッシャーからドラッグ中毒になって・・念仏先生のカウンセラーで真人間に生まれ変わりました」


「君は罪を償った。第二の人生、応援しているぞ」



「・・あの、保護して下さい。骨折れました・・・関節おられて、腕が逆方向に・・・あれ、痛くない・・」



「これは、イジリだよ。怪我をしていないじゃないか?これから、念仏先生のお話を良く聞くのだよ。じゃあ、本官たちはこれで」



「「「チース」」」



「あれ、血もない。じゃあ、僕たちもこれで・・・ウワワワーーー、宙に浮かんでいる」

「ヒィ、もう、やめれー、やめてください」



「いい?これが闇魔法よ。こうやって、闇の手で掴んで宙に浮かせているの。20メートルくらいでいいかしら?手を離しまーす」


「「「ヒィ、もうやめて下さいー」」」


ドン!


グチャ!グチャ!


「あら、体バラバラになったわね」


何回か。同じようなことをやって、またヒールというもので治す。


先生は魔法使いなのかしら・・・



その後、三人は学校に来ない。



☆風和産業



「いったいどうしたのだ。愛瑠(める)よ」

「ヒィ、あの女・・あの女・・・」


「こんにちは」


「ヒィ、念仏!」

「貴様か、娘にヒドイことをしたのは、謝罪に来たのか?娘の鼻が曲がっている!お前が命じてやれせたと聞いたぞ!」


「あら、私は当産業の筆頭大株主ですわ」


「何?」


「電話して聞いてごらんなさい。貴方、嫌われていたわ。役員名簿を片っ端らから、と言っても親戚よね。笑っちゃうわ」


「何だと・・」


「それで、緊急動議!社長の解任を要求します。はい、これ、書面よ。他の役員は賛成したわ。相場の10倍で買い取ったから、Win-Winよね」



「お前は、何をしたい・・こんなことまでして、それほど、娘が憎いか!」



「フフフフフ、異世界で野垂れ死ぬよりは良いでしょう」

「何を言っている!」


「手続きの方は、こんな田舎の小企業、いくらでもつじつま合わせられるわ。あら、新役員が来たわ。土田舎興業の皆さんよ」


「姐さん。ここが買収した風和産業ですね」


「ヒィ、有名な〇ヤ・・・」


「任侠団体や。お前ら今日中に家でていけよ」

「そうそう、この家も法人名義だろ?だから、俺らの財産よ」



後の二人は職場の社長に、子息の教育も出来ない者を雇用するなんて御社の姿勢を疑いますと、政治家の先生にご足労をお願いした。


クビには出来なかったけども、転勤をしてもらった。

転校だ。

負の感情をまき散らす者はこの地にいてはいけない。どうせ高校にもいけないほどの恐怖を与えたから、この先、まともな人生は歩めないだろう。


イジメをなくすにはイジメをする者を排除するのが最も効果がある。








☆☆☆異世界グランドル帝国光の宮殿



「召喚!・・・ダメだ!また、失敗だ!」

「・・・神官長、これで10回目ではないか・・・何故だ」



「はい、陛下、クラス転移は負の感情がなければなりません。大勢で一人をいじめる。それを見て見ぬふりをする協力者が必要です。

 ありていに言えば、あちらの世界は平和になって、召喚の要件に満たさなくなっているのではないですか?」


「そうです。14歳から18歳限定で、我らの力の及ぶ地域で片っ端らに召喚をやっていますが・・・限界です」



「魔、魔王軍が、この宮殿の近くまで来ました!持ちません」


「ヒィ、余だけでも逃げるぞー」



・・・・・・


この国は陥落をした。


魔王が光の宮殿を訪れた。


「魔王様、どうやら、クララベル様がやったようです」


「そうか、我が子よ・・・」



7年前、殿を一人の聖女がやっていた。



「魔王様、黒髪軍団、撤退、聖女が一人だけ残っています」


「バカな。貴重な聖女を殿に・・・・聖魔法は死霊軍団にしか効かない。捕まえろ」


「「「御意」」」



「ヒィ、グスン、グスン」


取り調べの結果、授かったジョブは聖女、それがクラスのクィーンビーとかの存在に気に入られずに、置いて行かれた。


「バカな・・・」


「如何しますか?」


「如何も何も、異世界から無理矢理つれて来られたのだ・・・まあ、捕虜として待遇せよ」



・・・・


「もう、良い。帰れ」

「いや、何でもするから、あそこに帰さないで!」


「何でもか。なら、魔法を覚え。やつらと戦ってみせよ」



元々、素質はあった。

光と闇は表裏一体、闇魔法を身につけ。魔王軍の将の一人になった。

この世界に寄る辺が必要と余の養子にした。


彼女は喜び。

次々と同胞を倒して行った。最後の同胞を倒したとき。彼女は、勇者を生きたまま解体していた。

闇を制御できないのか?


「ア~ハハハハハハ、どんな気持!ねえ、どんな気持?私にミミズジュースを飲ませた明石君!」


「や、やめて、殺して、久良羅鐘」



「やめよ。速やかに殺してやれ」


シュパン!


「え~、お義父様、風魔法で首を斬ったのね。残念、もっと、苦しめたかった。あいつ、私が昼飯を食べられないことを笑って、残飯を口にいれたりもしたのよ」


「そうか・・・」


「で、次は誰を殺せば良い?人間なんて、皆同じ。私、役に立つよ!」


「少し、休め」


どんどん闇に染まっていく。

この子の体が持たない。

彼女は強い。あちらの世界に戻しても十分生きていけるだろう。


「久良羅鐘よ。鹵獲した転移魔道具だ。あちらの世界でもポーションも作れるな。能力を使って一財産を築け。愛しているぞ。転移!」


「え、何故!」


ポワ~



・・・・・・・




☆☆☆現在


魔王神社



私は宗教法人魔王神社の代表者でもある。

この神社にはポーションを求めて、様々な者が訪れる。裏の社会の住人や、勿論、表の世界、政治家も来る。

皆、一様に闇をまとっているわね。光が少ない。



「これが、ポーションですね。ポーションは液体だから、かけたり飲めたりするのですね。料金の1000万円です」


「オホホホホホ、大泉様、あくまでも寄進を頂いたお礼に、ポーションを差し上げているのです。売買ではございませんわ」


「なるほど、寄付ということは税金がかからないということは脱税ではありませんね」


「お父様方にもよろしくお願いします」


「はい、ところで、協力政党の正義公正党の議員がポーションを欲しいと依頼がありましたが・・・連れてきていいですか?」


「そうね。ポーションをお分けできるのは、この神社の氏子ですわ。魔王様に忠誠を誓える者です。大戦果報告研究会を抜けることになりますが、その旨を説明して下さい」


「分かりました」



この土地は昔から神隠しが多いと有名だわ。実態は異世界に召喚されてきた。いえ、人さらいよ。


近年、魔王軍との戦いが激化して、奴らクラスごとさらう術式を完成させたわ。

まだ、伸びしろのある未成年を好んでさらう。

精神が不安定な子供なら召喚しやすい。


せめて、お義父様の軍勢が正々堂々と戦えるように妨害するしか恩を返せないわね。



「姉御、お客様です」


「あの、田代地区の大山と申します・・・息子がイジメにあっているようなのです。グスン」

「まあ、お話をお聞かせ下さい」



イジメは尽きることはない。人間と一つ前の共通の祖先から別れたチンパージーの群れもイジメが横行していると聞く。

イジメが尽きるまで、この活動をする覚悟だ。


''ニュースです。新内閣が誕生しました’’



あ、この顔ぶれ。そう言えば、国民をイジメる政治家を粛正した方が大本に治療になるのかも。

まずは、この神隠市の市政ね。


数年後、この市に三十前の女性市長が誕生した。


彼女の戦いは続く。

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