第42話
「まず聞きたいのは『キシン』それって何?」
「キシンは暴走族のチームの名前。鬼の神と書く。この近くに高速のインターがあんだろ。あの辺の倉庫の一つが活動拠点。」
暴走族。実在するんだ。
見た事ないしって。何で私知らないの?この近くなのに噂すらも知らないよ。
「和真くん。それマジで?」
私の問いかけに呆れた顔の和真くん。
「比名、お前こそマジで知らねんだな。『鬼神』」
「ごめん見た事もないし知らない。」
「謝んな。知らねんならそんでいい。
だいたい『鬼神』はめったに集団暴走しねえしな。」
見たこと無くて当然だと言う。
「集団暴走しないの?暴走族なのに。」
「集団暴走する意味がねえ。俺らはバイク転がしたり、あれこれ情報交換しながらカスタマイズすんのが好きなだけなんだよ。」
『鬼神』は全部で80人位いるけど、一緒に走る人数はせいぜい5、6人程度。それ以上で走ると煩いし怖がられんだろ。と苦笑いされた。
「人脅かしたり、怯えさす趣味はねえし、んな事やって喜ぶガキにだけはなるな。っつ~のが先代からの教えなんだよ。」
暴走族ってイメージと違うねと言う私にだろうなと笑う和真くん。でも
「じゃあ、抗争とかも無縁だよね。」
私の問いかけに対する返事は予想外なものだった。
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