第40話

『しっかり口説け』

社長さんの言葉に固まった私。気がつけば近くの椅子に座らせられてた。


「比名。」

「はっ、はいっ。」

「元気だな。」


肩を震わせて笑われた。


「すいませんね、無駄に元気で。」

拗ねてやるっ。プイと横向いた私の頭の上にぽすんと何かが置かれた。


「あ、お弁当箱。」


「サンキュ。旨かった。」


「本当に。」


「マジで。全部喰ったろうが。」


「本当だ。」

空っぽになってる。


「良かった。口に合わなかったらどうしようかと思ってた。」

そう言うと嬉しそうに微笑む和真くん。私の心臓黙ってて。うるさい。

それよりお礼言わなくちゃ。


「私こそありがとだよ。かわいいペンダント。」


「気に入ったのか。」


「うん。凄く。早速つけちゃった。」

襟元からペンダントを引っ張り出すと和真くんに見せた。


「良く似合ってる。」


「うふふっ。私の好きな色よくわかったね。」


「いや。好きな色は知らねえから似合う色にした。」


「似合う?ホントに!うれしいっ。」

しつこい位確認してにっこり笑うと和真くんの顔が赤くなった。

照れてるのかな?いやいや、こんなにイケメンなんだもん女の子の扱いには慣れてるよね。


さっきから何気にからかわれて肩で笑われてるし。

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