第36話
「じゃ制服はクリーニングして事務所に返しといて。今月の給料は来月末に君の口座に振り込まれるから。」
ついっと距離を詰められて小声で耳元で囁かれる。
「あのっ。」
思わず体を引く私。
近い。近すぎるっ。
ただの業務連絡なのに何なの。
やり手の社長さんは、まだ30代だってゆかりさんから聞いた。
何処と無く和真くんと似た雰囲気を持つ人。
知的なイケメンだし嫌いなタイプではないけどこの近すぎる距離は苦痛だ。
やっぱり私、和真くんが
社長さんからあわてて離れた私の体は、大きく後ろに引っ張られた。
目の前に現れた大きな背中。
「和真くん。」
私を背中に庇ってくれてる。素直に嬉しい。ぎゅっと彼の背中にすがりついた。
「智生さん、何やってんすか。」
和真くんの声が今まで聞いた事無いくらい低い。それに…怖い。
「真、殺気鎮めろ。女を怯えさすんじゃねえ。」
社長さんの声も和真くんに負けず劣らず低いし怖い。
「誰のせいっすか!」
「俺だな。わざと怒らせたし。
「は?」
「俺、比名ちゃん気に入ったし。真が行かないなら俺が貰おうかなぁ、って。」
社長さんの声はさっき迄と変わって凄く軽い。
「ふざけてんすか。」
和真くんの声も少し落ち着いたみたいでほっとする。
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