第30話

コンビニで呆然と立ち尽くす私は浴びせられる視線に我に還った。

やだ私、ファミレスの制服のままだったんだ。恥ずかしい。ミニフレアの制服は凄くかわいいけどコンビニじゃ浮いちゃう。

雑誌を戻して外へ出る。


暑い。炎天下のアスファルトに陽炎が揺らいでる。滲みでる汗。

私、ファミレスからここまで走って来たんだよね!?全然記憶がない。

パニックになると人って記憶が飛んじゃうんだね。

日陰を求めてちかくの公園に入るとベンチに腰掛けた。

道すがら買ったコーラの蓋を開ける。

冷たい炭酸が喉を潤す。

食べ物は喉を通りそうにない。

やっぱりこれって。


「恋…なのかな?」

わかんない。だって初めての感情。

和真くんだよ。

私服の彼と歩いたら。


「援交してる女子高生?それともヤクザの愛人?」

クスクスと笑いがでる。何か補導されそうだね。

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