case1.磨りガラスを見るだけのバイト

 ◾︎県の電柱に貼り付けられた求人ポスターから応募できるバイト。時給三万、お盆後の一週間限定。


 募集要項は以下の三つ。

・一週間の全日出勤

・◾︎県出身でない方

・約束を守れる方




【アドバイスサイト /このバイトに関するアドバイス より抜粋】


★☆☆☆☆ <×歳 女性>

 ここのバイト行った友人が帰ってこないので、マジで闇。◾︎県出身の知り合いもヤバいって言ってるし、本当にやめた方がいい。

<返信> : 還りましたよ。


★★☆☆☆ <×歳 性別不詳>

 流石に最終日に逃げた。本当は逃げちゃ駄目だからか、給料半分しか振り込まれなかった。あんな頑張ったのに鬱……まあ逃げた私が悪いんだけどさぁ。


★★★★★ <×歳 男性>

 応募後、即座に採用のメールが届きます。バイト当日、指定された一軒家に向かうと若い男性が扉を開けて出迎えてくれますが、無視して玄関横の脇道を通り、裏口から入らなければいけません。これはメールにも記載されているので、要注意してください。

 靴は回収し、事前に用意していたビニール袋に入れましょう。その後、裏口の鍵は開けたまま玄関へ向かい、扉が閉められている事を必ず確認してください。もし閉められていなかった場合、即座に玄関に並んでいる靴を裏返さなければいけません。(※この時、扉はなるべく見ないようにする事)

 決して自ら扉を閉める真似はしないように。

 磨りガラスが嵌められた扉なので、外がうっすら見えるはずです。一軒家の前に空き地がありますが、そこに誰か立っていても扉は開けないでください。窓などから確認してもいけません。


 初日の深夜十二時頃、誰かが磨りガラスをノックしますが、絶対に開けないでください。誰かが空き地へ還っていくまで、磨りガラスを見続けましょう。

 二日目の深夜十二時半頃、誰かが磨りガラスに顔を押し付けますが、絶対に開けないでください。向こうから内側は見えないので、磨りガラスを見続けましょう。

 三日目の深夜一時頃、「おーい」「どちら様ですかあ」「嫌がらせなら辞めてくださあい」など、誰かが声をかけてきますが、絶対に開けないでください。声が老若男女どれであっても、磨りガラスを見続けましょう。

 四日目の深夜一時半頃、誰かが溶けていますが、絶対に開けないでください。磯の香りが非常に強いですが、決して消臭剤を用いたり、換気の為にその場を離れたりしないで下さい。磨りガラスを見続けましょう。

 五日目の深夜二時頃、誰かが近所の人を名乗ってきますが、絶対に開けないでください。一軒家の近所は全て空き家です。誰かが脇道へ消えていくまで、磨りガラスを見続けましょう。

 六日目の深夜二時半頃、誰かが脇道を歩く音がしますが、絶対に開けないでください。確認しに出て行ってはいけません。猫が犠牲になってくれるので、大人しく磨りガラスを見続けましょう。

 七日目の深夜三時頃、誰かが裏口から入ってきますが、絶対に逃げないでください。指に刺刺刺した生首を用いて会話を試みてきますが、絶対にに逃げないでください。ちゅるちゅると脳髄を啜られますすが、絶対に逃逃逃げないでください。海に産みに膿海膿に還還還還還還還還還還還還還還還還還還還還還還還還還還還還還還還還還還還還還還


★★★★★ <×歳 男性>

このバイトのお陰で助かってます!!ありがとう!!


★★★★☆ <×歳 女性>

脅しコメントみたいなの結構ありますけど、ちゃんとした仕事ですよ。

やりたい人のやる気を削ぐような嘘コメで荒らさないでください。


★★★☆☆ <×歳 男性>

お金が欲しいならやればいいと思う。



※このお話はフィクションです

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