第17話 コンパにタンカ



——————…





「はあぁ……!」



陽もいつの間にかすっかり上りきった、善の家からの帰り道。

私は近くを歩いていた人も怪訝な視線を向けるために振り返るくらいの力強い溜め息を吐いていた。何なら拳を顔の前で握っている。



私の搾り出した答えは、間違っていたのだろうか。



善、凄い顔してたな…



凄い顔、してたけど、その後は特に変わった様子もなくいつも通りだった。いつも通り、カーディガンを返しに来ただけだと言う私を車で送ると言って聞かなくて、戻ったお勝手にまだ居たナズナに、届いた桃を私に持って帰らせるからと用意させ、その桃をナズナと善で厳選してくれている間に車を出そうとした芹を喰い止め気まずい、一人で帰らせてくれと小声で懇願した。


やっぱり、いつも通りではないと判断したから先に気まずさを感じたのだ。

どことなく善は不機嫌に映った。



力を込めて溜め息を吐いた反動で力無く顔を上げ、目の前の電柱に額を預けようか考えたと同時に肩に掛けたスマホと財布のみが入った白いサコッシュが振動。その振動元のスマホを取り出すと、画面には“ 天野 ”からの新着メッセージの通知が浮かんでいる。


あー…。あの時登録したんだった。今見ようか迷ったが、またしても失敗したらしく落胆していたのもあってあまり深く考えられなかった。単純に無視してもいつかは見なきゃいけないのもあって、開く。




「……は?」




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