番外編:永遠の契り

# 刃に宿る想い - 番外編:永遠の契り


都での大戦から半年が過ぎた。鷹乃道場は以前の平穏を取り戻し、十四郎と椿丸の関係も周囲に認められるようになっていた。


ある静かな夜、二人は道場の裏手にある小さな池のほとりで寄り添っていた。


「椿丸」


十四郎の声に、椿丸は顔を上げた。


「はい、十四郎さん」


月光に照らされた椿丸の顔を見つめ、十四郎は思わず息を呑んだ。その美しさに、今でも心を奪われる。


「ずっとお前のそばにいたい」


十四郎の言葉に、椿丸の頬が赤く染まる。


「私も...十四郎さんと一緒に」


二人の唇が重なる。柔らかく、しかし情熱的な口づけ。


十四郎の手が椿丸の着物の襟元に伸びる。少しずつ肌が露わになっていく。


「ここで...大丈夫ですか?」椿丸の声が震える。


十四郎は椿丸の耳元でささやいた。


「誰も来ない。今夜は、お前だけを見ていたい」


その言葉に、椿丸の体が熱くなる。


二人の着物が柔らかな音を立てて地面に落ちる。月明かりに照らされた二つの裸体が、互いを求めるように絡み合う。


十四郎の唇が椿丸の首筋を辿り、胸元へと移っていく。その感触に、椿丸は小さな吐息を漏らす。


「あっ...十四郎さん...」


十四郎の手が椿丸の腰を掴み、さらに下へと移動する。


「椿丸...」


十四郎の声が低く響く。その声に、椿丸の全身が震える。


二人の体が一つになる瞬間、椿丸は思わず十四郎の背中に爪を立てた。


「痛くないか?」十四郎の声に心配が混じる。


椿丸は首を振る。「大丈夫です...十四郎さん、もっと...」


その言葉に応えるように、十四郎の動きが激しくなる。

椿丸の喘ぎ声が、静かな夜air


に溶けていく。


「十四郎さん...十四郎さん...」


椿丸の声に応えるように、十四郎の動きがさらに激しくなる。


二人の体が弓なりに反り、同時に絶頂を迎える。


「椿丸...」


「十四郎さん...」


互いの名を呼び合いながら、二人は強く抱き合った。


しばらくの間、二人は言葉もなく寄り添っていた。月の光が、汗で濡れた二人の体を優しく照らしている。


やがて、十四郎が静かに口を開いた。


「椿丸、お前と結ばれたい」


椿丸は驚いて十四郎を見上げた。


「十四郎さん...それは」


「そうだ。正式な契りを交わしたい」


椿丸の目に涙が浮かぶ。


「はい...私も、十四郎さんと」


二人は再び口づけを交わした。長く、深い口づけ。


しかし、その幸せな瞬間も長くは続かなかった。


突然、不吉な風が吹き抜けた。


「この気配は...」十四郎が身を起こす。


「十四郎さん、これは」椿丸も警戒の色を浮かべる。


その時、闇の中から一つの声が響いた。


「いい光景だったぞ、十四郎、椿丸」


その声に、二人は凍りついた。


闇から現れたのは、以前倒したはずの妖刀使いだった。


「お前...なぜ」十四郎が身構える。


妖刀使いは不敵な笑みを浮かべた。


「私を倒したお前たちの力...その秘密が知りたくてな」


その言葉と共に、妖刀使いの体から黒い靄が噴き出した。


十四郎と椿丸は咄嗟に飛び退く。しかし、裸のままでは十分な動きができない。


「くっ...」十四郎が歯を食いしばる。


「十四郎さん!」椿丸が叫ぶ。


妖刀使いの攻撃が二人に迫る。その時、十四郎は椿丸をかばうように前に出た。


「椿丸、逃げろ!」


「いやです!十四郎さんと一緒に!」


椿丸の叫び声と同時に、不思議な光が二人を包み込んだ。


「なっ...これは」妖刀使いが驚きの声を上げる。


光に包まれた十四郎と椿丸の体が、ゆっくりと宙に浮かび上がる。


「椿丸...この力は」


「はい...私たちの想いが」


二人の体から放たれる光が、妖刀使いの放つ黒い靄を押し返していく。


「バカな...愛などという」


妖刀使いの声が途切れる。光に包まれた十四郎と椿丸が、一つの存在のように融合していく。


「我々の絆が」


十四郎の声が響く。


「あなたの闇を打ち払います」


椿丸の声が重なる。


そして、二人は同時に手を前に突き出した。

まばゆい光の束が、妖刀使いを貫く。


「ぐあああああ!」


妖刀使いの悲鳴と共に、その姿が光の中に溶けていった。


光が収まると、十四郎と椿丸は再び地面に立っていた。


「終わったな...」十四郎がつぶやく。


「はい...」椿丸が答える。


二人は再び強く抱き合った。


「椿丸...さっきの光は」


「はい...私たちの想いが形になったのだと思います」


十四郎は椿丸の頬に手を添えた。


「お前との絆が、こんなにも強いものだったとは」


椿丸は十四郎の手に顔を寄せる。


「十四郎さん...私たちの愛は、どんな敵をも倒せるんですね」


十四郎は静かに頷いた。


「ああ。だからこそ...」


十四郎はゆっくりと片膝をつき、椿丸の手を取った。


「椿丸。今度こそ、正式に問おう。私と共に歩んでくれないか」


椿丸の目に涙が溢れる。


「はい...はい!十四郎さん!」


椿丸は十四郎に飛びついた。二人は再び深い口づけを交わす。


月明かりの下、二人の体が再び重なり合う。

今度は、より深く、より熱く。

互いへの想いを、全身全霊で確かめ合うように。


「十四郎さん...愛してます」


「俺も...椿丸」


二人の声が、夜空に溶けていく。


その後、十四郎と椿丸は正式な契りを結んだ。

道場の皆も、二人の結びつきを祝福した。


そして、二人で新しい道場を開くことになった。

その道場では、剣の技だけでなく、心の在り方も教えるという。


「刃に宿る想い」

それは、十四郎と椿丸が歩んできた道の名前でもあった。


二人の物語は、まだ始まったばかり。

しかし、互いへの深い愛と信頼があれば、どんな困難も乗り越えられる。


そう信じて、二人は手を取り合い、新たな未来へと歩み出したのだった。


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