第九章:宿命の対決 十四郎は椿丸の顎を掴み、顔を近づけた。二人の唇が重なる。深く、長い口づけ。湯の熱さと相まって、二人の体温が急速に上昇していく。
## 第九章:宿命の対決
葉隠との戦いから数日が過ぎ、十四郎と椿丸は山中の温泉宿で傷を癒していた。二人だけの静かな時間は、これまでの緊張を解きほぐすには最適だった。
夕暮れ時、湯煙の立ち込める露天風呂。十四郎は湯に浸かりながら、遠くの山々を眺めていた。
「十四郎さん」
振り返ると、そこには椿丸の姿があった。月光に照らされた肌が、滑らかな磁器のように輝いている。
「椿丸...」
十四郎は思わず息を呑んだ。椿丸はゆっくりと湯に入り、十四郎の隣に腰を下ろした。
「傷は...大丈夫か?」
十四郎の問いに、椿丸は微笑んで頷いた。
「はい、もうほとんど...」
言葉の途中で、椿丸は十四郎の胸に手を置いた。そこには、まだ生々しい傷跡が残っている。
「十四郎さんこそ...」
椿丸の指が、そっと傷跡をなぞる。その優しい触れ方に、十四郎は身震いした。
「椿丸...」
十四郎は椿丸の顎を掴み、顔を近づけた。二人の唇が重なる。深く、長い口づけ。湯の熱さと相まって、二人の体温が急速に上昇していく。
唇を離すと、十四郎は椿丸の首筋に顔をうずめた。
「椿丸...お前は私にとって、かけがえのない存在だ」
椿丸は十四郎の背中を強く抱きしめる。
「私も...十四郎さんが、全てです」
月明かりの下、湯煙に包まれながら、二人は湯から上がり、宿の一室へと戻った。
障子を閉め、灯りを落とした薄暗い部屋で、二人の体が重なり合う。
十四郎の大きな手が、椿丸の肌を優しくなぞっていく。
「椿丸...」
十四郎の囁きに、椿丸は小さく震えた。
「十四郎さん...」
二人の唇が再び重なる。今度は、より深く、より熱い口づけ。
舌と舌が絡み合い、互いの味を確かめ合う。
十四郎の手が椿丸の胸元へと移動する。その感触に、椿丸は小さな吐息を漏らした。
「あっ...」
「大丈夫か?」
十四郎の問いかけに、椿丸は頷いた。
「はい...続けて...ください」
その言葉に応えるように、十四郎の愛撫はさらに大胆になっていく。
椿丸の体が弓なりに反り、十四郎の名を呼ぶ。
「十四郎さん...十四郎さん...」
その声に応えるように、十四郎の動きが激しくなる。
二人の体が一つとなり、互いの温もりを感じ合う。
「椿丸...」
「十四郎さん...」
二人の声が重なり、やがて絶頂を迎える。
その後、互いを抱きしめ合ったまま、二人は深い眠りについた。
翌朝、二人は寝床で目覚めた。朝日が障子を通して柔らかく差し込んでいる。
「おはよう、椿丸」
十四郎の声に、椿丸はゆっくりと目を開けた。
「おはよう...十四郎さん」
二人は見つめ合い、そっと口づけを交わした。
「昨夜は...」
椿丸の頬が赤く染まる。十四郎は優しく微笑んだ。
「ああ、素晴らしい夜だった」
そう言って、十四郎は椿丸を抱きしめた。二人の体が再び重なり合う。
しかし、その幸福な時間も長くは続かなかった。
突然、荒々しいノックの音が響いた。
「十四郎様!椿丸様!大変です!」
慌てて着物を整えた二人が襖を開けると、宿の若い従業員が立っていた。
「どうした」
「都からの伝令です。緊急事態だそうです」
十四郎と椿丸は顔を見合わせた。
「分かった。すぐに用意をする」
従業員が去ると、十四郎は深いため息をついた。
「椿丸、行くぞ」
「はい、十四郎さん」
急いで支度を整える二人。しかし、その合間にも、二人は何度も口づけを交わした。
「十四郎さん...」
「椿丸...」
互いの名を呼び合い、強く抱きしめ合う。それは、来たるべき試練への覚悟と、互いへの深い愛の表れだった。
都への道中、二人は馬を並べて走った。時折、手を取り合い、互いの存在を確かめ合う。
都に到着すると、そこには想像を絶する光景が広がっていた。
街の半分が焼け落ち、黒煙が立ち昇っている。そして、その中心に立つ一人の男。
「まさか...」
十四郎の声に、椿丸も息を呑んだ。
そこに立っていたのは、以前に倒したはずの妖刀使いだった。しかし、その姿は人とは思えないほど禍々しく変容していた。
「よくぞ来てくれた、十四郎...そして椿丸」
その声は、人のものとは思えないほど低く歪んでいた。
「貴様...なぜ」
十四郎が問いかける。
妖刀使いは不気味な笑みを浮かべた。
「私は、もはや人ではない。妖刀と一体化し、この世界を支配する者となったのだ」
その言葉と共に、妖刀使いの体から黒い靄が噴き出した。
十四郎と椿丸は、互いの手を強く握り合った。
「行くぞ、椿丸」
「はい、十四郎さん」
二人は刀を抜き、妖刀使いに向かって走り出した。
これが、最後の決戦になるかもしれない。しかし、二人の心には迷いはなかった。
互いへの愛と信頼が、どんな妖刀の力をも打ち砕くはずだ。
その確信と共に、二人は宿命の対決に挑んでいった。
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