冬子はかなわない 〜沼津スローライフで嘘しかつけない能力を得た女の話〜

沼津平成

第1話

 首にはマフラーをかけている。足には靴下をかけているし、冬服の心配もない。それなのに、どこかが寒い。

 その理由は冬子自身もわかっていたのだが、元に戻すのがおっくうで、いつもならもう何時間も触っているはずのスマホを、今朝は数分くらいしか触っていない。


「冬子、今年の正月ぐらい帰省したら?」


 ハァ、今年も無理だった。……………………この瞬間も、時は続いている。

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