仲の悪い友達

天川裕司

仲の悪い友達

タイトル:仲の悪い友達


俺は中学生。

クラスに、仲の悪い友達がいた。

でもそいつ、2学期が始まってすぐに引っ越した。


「ケッ、あいつが居なくなって清々したわ」

なんていっとき思っていたのだが、

ちょっと居なくなっちゃうと寂しい。


まぁいろいろ喧嘩じみた事をしてきた俺たちだが、

「もし仲の良い友達になれたらどうだったんだろ?」

そんなことも同時に思ったりしていた。

だから心の穴がぽっかり抜けたように、

ちょっと寂しくなったのかもしれない。


それから数ヵ月後のこと。

その友達と、ばったり街中で会ったのだ。


「よ、吉岡…」

吉岡「お、おう」


まぁ数ヶ月だから印象も容姿も変わってない。

でもなんとなく他のところに居るヤツ、

ってふうに、ちょっとだけ壁を感じたりもした。


それが逆に良かったのか。

同じクラスに居る時は喋れなかった事なんか、

その時に喋り合えたりした。


「今どうしてんだよ?」

吉岡「いや別に、これまで通りだよ」

「これまで通りって、学校変わったし、環境も変わったんじゃねぇのか?」

吉岡「まぁな」


いろいろ喋った。

どうやら吉岡は、転校先の学校で

ハミ子されてされていたようで、

前の学校…すなわち今俺が行ってる学校に

戻りたい、そう思ってた様子。


「そうなんか…」

途端に不憫に思えてきた。

吉岡は俺たちの仲間内から外へ行ったヤツ。

俺たちのクラスから出て行ったヤツ。


その仲間意識が心に芽生え、

吉岡を少しかわいそうに思った。


それから俺はそこで、吉岡と仲直りした。

これまでのことをすべて清算する勢いで、

「俺がお前の友達でずっと居てやる」

ってなことを言ってやったんだ。

恥ずかしかったが正直だ。


吉岡「…サンキュ」

そう言ったかと思うと、

吉岡は俺の目の前でスッと消えた。


「…え?…あれ?吉岡…?」


(翌日)


友達「吉岡くん、確か先週の日曜…」

「はあ!?ウソだろそれ!」


今、俺は社会人になってるけど、

あれからずっと吉岡がそばに居てくれると信じてる。


(会社の屋上で)


「…だよな?消える事もできるんだったら、また俺の前に現れる事もできるよな吉岡?」


本当の友達なら、

たとえどうなっても会いたいと思える。

俺は必ずいつか、吉岡に会えると信じてる。

今の俺の夢は、あいつと酒を飲み交わすことだ。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=UqqXMJVZf6Q

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仲の悪い友達 天川裕司 @tenkawayuji

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