カスミ
第17話
カスミは不服そうで、でも嬉しかった。だって、ミルが承諾してくれたんだもの!嬉しくないわけない。そして、着替えている間、執事とはこういうもので…と教えると、ミルは真っ赤になっていた。
「あら?どうしたの?ミル?顔色が」と言いながらミルに手を伸ばすが、ミルは思わず体を引いてしまった。ミルはしまった、傷つけた!と思った。パニックになり「大丈夫ですか」と問うた。
するとカスミは「ふふ、いいのよ。…でも、今夜、私の寝床に来てね」と言った。
その夜、ミルがカスミの寝床にいった。カスミは人払いをしていて、部屋には二人きり。ミルはカスミと二人きりだなんて…と恐れ多かったが、カスミは窓の外を見ていた。そこにはジャスミンが花に水をやっていて、カスミは「お母さま、相変わらずね」とだけ言った。でも微笑んでいた。カスミは独り言のように「私の名前はね、お母様が付けてくれたの。カスミソウが好きなんだって。その花、まだ咲いてないの」とだけ言った。
ミルは、カスミの気持ちを汲み、そっと手の甲に口づけをした。カスミはボーッとし、でも「ミルも、あの男どもと一緒?私に迫ってくる人たち」と言った。ミルは慌てて「そんなことないですよ!」と言った。「僕はカスミさまが好きです」と口を滑らせた。あっ。思った時にはもう遅い。ミルの口はカスミに封じられていた。
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