第15話 土産
別荘から帰る特急内で軽く別荘でのことを考えたときふと、疑問が生まれ、燐に確認した
「なぁ、最初に漁師の舟木さん、部屋ん中を舐めるように見てたよな?」
「見てた。」
「あれ、何してたと思う?」
「何……急に?キモ……」
燐の辛辣な反応が胸に刺さったが話を続けた。
「いや…何か探してるような見方してたから。」
「確かにそうですね。」
燐の隣りにいた、牡丹が答えた。
「というか……初めましてだったけど何か相手知ってる感じだったよな。」
二人と顔を見合わせ思い出そうとする。
「あっ!!牡丹が攫われたときにあの武装したメンバーの中に居たわ……そういえば……」
「待ってそれ不味くない。」
燐が慌て始める。確かに不味い……もし俺の勘が合っていた場合、一つ拠点を潰される。もしくは、占拠される。迂闊だった、というか。別荘にいた期間中一切襲われることは無かったので気の所為であって欲しいが……
「ねぇ。それは何?」
俺が持っていた紙袋を指差し燐が警戒して聞いてくる。
「これ?船木さんから貰った菓子折り……」
俺の顔からサァーと血の気が引いた。万が一のことを考え包みをやぶき中を見るとタイマー式の爆弾だった。
「どうする?これ…………」
他のお客さんを刺激しないように、小声で紙袋の中を見せつつ相談した。
「もう、タイマー動いてるよね。」
燐が少し震えながら言う。
「でも次止まるよね。特急?」
「止まるな。」
「その時に海に捨てれない?」
そんなやり取りをしている間もタイマーが進み、気づけば5分前になっていた。
頭の中で秒針が刻む音が響く……まずい死ぬ。
ふと、ドローンを持っていたのを思い出し、そこまで大きいものではないがこの紙袋を運ぶには丁度いい。
さぁ飛ばそうと思ったとき、嵌殺しの窓に気づいた。
「どうするの?外に出せないよ。」
燐が焦りながら話す。とそこに丁度良く車掌が来た。
「どうかなさいました?」
チャンスだ!と紙袋を渡して事情を話した。すると、車掌が先頭の車掌に連絡して緊急停車させ5両車内の乗客全員に聞こえるように、隣の車両に移るようにと言い何事かと、疑問に思いながら指示に従って、そそくさと車両から離れた。その後ドアを開けたら開けて、ドローンを飛ばすようにと、合図を送ってきた。
「行きます!」
プロペラの音が鳴りながら、車両の外へとドローンが飛んでいく。そしてある程度離れた瞬間。轟音が響き
朱い炎と白い煙が車窓に映った。
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