あらゆる物の果て
原氷
第1話
わたしたちは、驚くほどに、観念の目を持っているようで、精神的なものに対しての受諾を行っている。少なくとも、わたしは世界に対して批評の目を持っていたし、わたしの父が、その批判精神を思う存分発揮して、わたしを育てるときに、一つの懐疑を植え付けたことに、わたしはひどく、自分を失っていたと思う。
わたしの青春期は、思った以上に、安泰であり、少しも自分を貶める経験をしなかった。いくばくかの恋愛もした。それでも、相手に落ちる、ということもなく、ただ、淡々と付き合っていた。彼女は才気のある女で、わたしの目を見ると、変わらずこちらを見るのだ。その目線のやり取りに、少しは、楽意もあったと思う。しかし、わたしがわたしを見失うことはなかった。
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