罰ゲームで学校一の美少女に100回告白させられたのだが、なぜかOK貰っちゃいました。
田中又雄
第1話 全ての始まり
現在の時刻は12:45である。
もちろん、昼である。
我が私立明忠高校はそれなりに頭のいい高校である。
全校生徒は1000名程度でそこそこの多さであり、2年になると理系コース、文系コース、専門コース、特殊資格コース、スポーツ特進など...将来を見据えた様々なコースを選択することができる、自由度の高い高校としても知られていた。
ちなみに俺は勉強がそこそこできる普通のオタクである。
そして、定番というかオタクということもあり、中学時代は結構迫害されたものだ。
陽キャ男子からは揶揄われ、変なことをよくやらされ...、あぁいやだ。
そういう面でも頭のいい高校に行けば、そういうやつらに絡まれることもなくなるかなと思っていたのもあるのだ。
そんな期待に胸を躍らせながら高校に入ってたのだが...。
◇2024年5月15日 1-A 13:10
「ロン!12000〜!はぁーい、司くんのまけぇ~w」と、クラスの男子カースト1位の小野寺 陸が楽しそうに笑う。
小野寺 陸
中学時代からサッカーで名を馳せており、この高校にもスポーツ推薦で入ってきた。
勉強はまるでできないが、その圧倒的なコミュ力と、高い顔面偏差値、人を従えるカリスマ性を携えていたことで、あっという間にクラスの中心人物となったのだ。
しかし、これは表の顔である。
裏の顔は別にある。
俺は現在、陽キャグループに巻き込まれる形で、半強制的にクラス内で行われているカード麻雀大会に参加させられていた。
そして、3連続4着となり、見事に最下位となった。
もちろん、これは偶然ではなく、意図的でありイカサマをされた結果によるものであった。
まぁ、もちろん気づいてはいたが、指摘してもどうせまともに取り合ってもらえないことはわかっていたので、大人しくそれに従っていたのだ。
「そんじゃ、罰ゲームについては放課後話から。そのつもりで」と、耳元で小さく呟く。
これがこいつの裏の顔である。
表ではニコニコとしているが、裏ではこうして弱い男子を食い物にしてるのだ。
はぁ...嫌な予感しかしない。
今すぐ帰りたいです。はい。
しかし、そんなことを言い出せるわけもなく、俺は仕方なくそれに従うのであった。
◇放課後
クラスメイトはほとんど帰り、カード麻雀を行った4人だけが残っていた。
すると、小野寺は「この箱の中身にうちのクラスの女子全員の出席番号が入ってまーす!なので、箱から1枚引いてもらって、その番号の女の子に告白してもらっていう罰ゲームだから。おっけー?」と、意味のない意志確認をされる。
どうせ、俺に断る権利などないだろうに。
「...うん」と、箱の中に手を突っ込み、一枚の紙を取り出す。
そうして、紙を取り出して、小野寺に手渡す。
すると、ニヤニヤしながら紙を見せてくる。
「えっと...16番ってことは...!なるほど!有野宮さんだね!」と、わざとらしくそう言った。
有野宮 翠
うちのクラスで最も人気のある女子である。
可愛く、頭が良く、人当たりがよく、愛想を振り撒く女子。
まぁ、黙っていても可愛いから人気が出そうなのに、人徳までついてくるとなると、そりゃ男子から狙われないわけがない。
既に何人かの男子は既に自爆特攻を終えており、命からがら帰還していたのだが...。
ちなみに噂によると断り文句は「私、好きな人がいるので」らしいのだが、実際そんな人が本当にいるのか、いるとしたら誰なのかについては...この罰ゲームの箱同様、ブラックボックスと化していた。
「てことで、有野宮さんに告白するってことでよろしく〜。ちなみに、告白が成功するか、有野宮さんの好きな人が誰かがわかるまで、この罰ゲームは終わらないから!よろしく!」
...最悪である。
まぁ、頭を地面を擦り付けたら教えてくれないかな?と、思いながら家に帰ると手紙を書き始める。
はぁ、こんな風に手紙を書くのはいつぶりだろうか...。
◇翌日
早朝に学校へ行くと彼女の下駄箱に手紙を入れる。
はぁ、これだけドキドキしない手紙はあるだろうか?
絶対外れる演出のパチンコくらい胸が躍らない。
そうして、いつも通りの学校を終える。
そのまま放課後になると、校舎裏で彼女を待つ。
そこに現れたのは相変わらず、作られたような精巧な顔立ちをした女の子。
黒髪ロングヘアに緑の目、黄金比で配置された顔のパーツに、バランスの取れたスタイル。
男子が釘付けになるのも無理はない。
「...えっと、堰原くんだよね...?どうしたの?」と、少し困ったような顔をしながら俺に問いかける。
まぁ、俺みたいなインキャの告白を無視しようものなら、ストーカー化したり、火の立たないところに煙を撒くように変な噂を流すことも考えられるだろう。
だからこそ、この告白は無視することはできなかったのだろう。
心中お察しします。
「...好きです、付き合ってください」と、頭を下げる。
「...ごめんなさい。好きな人がいるので」と、言われる。
まぁ、ここまでは予定調和。
問題はこの先だ。
「...その、好きな人って誰ですか?」
「...それはいえないかな」
そりゃそうか。
しかし、俺にはもう選択肢はない。
頭を地面に擦り付けながら俺は頼む。
「お願いします、教えてください」
もしこれが失敗すれば、どれだけの時間を彼女に使う羽目になるか...。
こんな土下座一発で済むならそれがベスト。
しかし、彼女の答えは変わらなかった。
「...ごめんなさい」
最悪の結果である。
これはつまり、俺の告白無限編がスタートすることを意味していた。
はぁ...最悪だ。
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罰ゲームで学校一の美少女に100回告白させられたのだが、なぜかOK貰っちゃいました。 田中又雄 @tanakamatao01
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