君を好きだけどそれは世界に関係ない

この好きという気持ち。

この気持ちは、叶うことはないと分かっていた。


だって、この手には何も無い。

魅力的だと思ったことなんてない。


自慢できるのは友人だけ。

どうして一緒にいてくれるのか分からないけど、一緒にいてくれる友人。

それだけは恵まれていると自信を持って言える。


なにが出来る。なにを示せる。

なにも無い。なにも無い。

ちゃんと分かってる。

だから、高望みなんてしない。


好きな気持ちは大切だけど、それは自分だけのもの。

相手に望んだりはしない。


友人は、もっと自己肯定感を高めろという。

なにも無いのに?

そんな事を口に出したりはしない。

友人は怒るだろうから。

優しい友人は、怒ってくれる。

自分を愛せよ、と。


自虐の言葉なら、どれだけでも出てくるというのに。

自慢なんてなにも出てきたりしない。

鏡には歪んだ笑顔の自分しか映らない。

きっと醜い心が映っているのだろう。


月が好きで、ずっと見上げていられた。

光り輝くけど、熱くなく。

優しいような、冷たいような光。

暗闇で、心を優しく包むような灯火。

涙のような光。

月のように照らせたらいいのに。

そんなことを思う。


大好きなあの人が幸せでありますように。

今日も月に祈る。


わたしが好きである事に意味なんてないけれど。

ただ、幸せを願うことに罪はないはず。


最近たった一言交わすことが出来た幸運に感謝して、月を見上げる。


ただ、君を想う。

気付かなくていい。知らなくていい。

この気持ちにただ浸らせて。

君を好きだけどそれは誰にも関係ない。

わたしだけの、わたしの中だけの想い。


わたしは君を好きだけど、君の世界には関係ない。それでいいの。

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君を好きだけどそれは世界に関係ない 雪月 @ao_ao

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