第2話
「……またこの夢」
ここ数日、立て続けに見る夢にはっきり言ってうんざりしている。
あの強い意志を持った瞳が頭から離れない。
あたしを捨てて何処かへ行ってしまいそうな焦燥感で飛び起きる。寝覚めが悪い。
あの人の芯の通った生き方に憧れる反面、そろそろ落ち着いて隠居でもしてくれないかと思う。
「……もう少し寝よ」
あたし達が出会ってから何度目の春だろうか。
出会った時を思い出させる眠気を誘う暖かな空気に身を委ね、あたしはまた夢の中へと落ちていった。
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