第51話
ケンさんの顔を見ると真剣な顔をしていた。
「もう、会うのをやめよう」
「え?」
「さやかちゃん。今まで俺の我儘に付き合ってくれて本当にありがとう」
「……あたしはもう、いらないってことですか」
そう言った私の顔はどんな顔だったんだろう。
怖い顔だったかな。それとも、泣きそうな顔だったかな。
初めてケンさんに抱きしめられた。
華奢な体だと思っていたけど、当たり前にあたしより大きくて、力強かった。
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