第50話

「さやかちゃんにさ、聞いて欲しいことがあるんだ」


「何ですか?」



目の前に広がる夜景に目を奪われていた私は、ケンさんが私の横顔を悲しげに見つめていたことに気がつかなかった。



「俺さ、さやかちゃんと出会えて本当に幸せ」


「……。何今更そんなこと言ってるんですか」


「俺はもう十分に幸せになった。ありがとう。だから、次はさやかちゃんに幸せになって欲しい」



ケンさんの様子が違う。




それにようやく気がついた私は多分、浮かれていたんだと思う。

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